パクリという言葉を耳にしたら
FirstUPDATE2018.4.8
@Scribble #Scribble2018 #クリエイティブ #ことば #人間関係 単ページ あまちゃん パクリ 示唆

えと、昨日の続きではないけど、ま、いわば実践編というか。

アタシは当ブログで、映画のこと、野球のこと、音楽のこと、笑いのこと、その他諸々、本当にいろんなことを書いてきました。
しかし、いくら様々なことを書こうが、所詮アタシはただの素人です。別に逃げ道を作りたいわけじゃなく、映画業界にいるわけでもなければ、野球なんか中学の野球部にすら入っていない。音楽と笑いはほんの少し齧ったと言ってもいいかもしれないけど、とてもじゃないけどプロレベルには程遠い。
つまりは何ひとつ満足にっつーか、エラソーに言えないはずなんです。
しかし同時に「素人はプロのやることにたいして、一切口をつぐんでおかなきゃいけない」とも思っていない。プロが素人相手に「商売」をしている以上、商売相手でもある素人も口を挟む権利はある。

だからこそこうやってブログにあーだこーだ書いているわけですが、前も書いた通り、守らなきゃいけないこともあるわけで。
ひとつは、自分は素人である、ということを常に念頭に置くってこと、もうひとつは書く対象のプロにリスペクトの気持ちを持つ、このふたつは絶対だと思っている。
思い込みでトンチンカンなことを書いてしまうこともあるし、さすがにちょっと言い過ぎレベルの暴言になってしまうこともあるけど、このふたつが頭の片隅にある限り、何つーか、一線は超えないと思うのです。

そして実はもうひとつ、かなり重要なことがある。それは素人が素人の意見を馬鹿にしたり見下したりしない、という。
俺もお前も素人同士じゃん。どっちが正しいかなんかわからないし、別にわからなくてもいい。ただお互いそう感じたんだよな。だったらそれも尊重しようや。反論したり否定するのはいいけど、見下したり小馬鹿にすることだけは止めましょうや、と。
え?パクリの話とぜんぜん関係ない?いやいや、ここから関係してきます。
アタシがパクリだなんだって騒ぐ輩が嫌いなのは、最終的に「素人が素人を小馬鹿にする」という図式に行き着きやすいからなんです。
パクリだと騒ぐってことは、当然元ネタを知ってるということです。もし元ネタを知ってる人全員が常識的というか温厚な人柄で

「◯◯って歌、熱いよね!」(「あまちゃん」の松尾スズキ風に)
「ああ、あれねぇ。実はベースになった曲があるんだよ。◯◯が好きならベースになった△△も聴いてみたら?」

こんな感じなら、もうまったく問題がない。
しかし、まァ、パクリをこんな感じで指摘してるのなんて、まず見ない。ネット上はもちろんリアルでも。

「◯◯って歌、いいッスよね!」
「はぁ?本気で言ってんの?あんなの丸パクリじゃん。つか元ネタの△△も知らないわけ?そんなんでよく音楽好きって言えるね(嘲笑)」

ほぼこんな感じで指摘してくる。これで腹が立たない方がどうかしてる。何しろ自分と自分が好きな楽曲の両方を一気に馬鹿にされたんだから、怒って当然じゃないですかね。
つかパクリを指摘したからってなんなんだと思う。△△を知ってることがそんなに偉いのか?△△を知らなければ音楽が好きではないって証明になるのか?
音楽の知識なんか、もう本当に被らないですからね。ましてや素人なら、いくら「音楽に詳しい」なんて自称していても、ただ偏っているだけだし。

アタシなんかロックなんかまるで知らないから、△△がロックだとしたら、しかも海外アーティストのアルバムにしか入ってない曲なら、100%知らない自信がある。
じゃあ自慢げに指摘した△△を知ってる人間が、アタシが知ってる楽曲をすべて知ってるのかというと、そんなことは絶対にあり得ない。
ま、結局やってることは某掲示板で日常的に行われているマウンティングでしかないわけです。自分が知ってる→コイツは知らない→マウント取って馬鹿にしてやろう、みたいな。

ま、リアルでそこまでやるヤツはなかなかいないけど、それでも「あれはパクリ」と言われただけでも、そのあと極端に空気が悪くなる。
ならばせめてパクリって言葉は止めませんかってことなんです。
もし「パクリ」ではなく「影響を受けてるな」とか「換骨奪胎して作った感じだよね」とかなら、そこまで空気は悪くならないですよ。
じゃあテメエなら、同じシチュエーションでどうすんだって言われるなら、何も言いませんよ。仮に元ネタを知ってたとしても、そのものズバリの元ネタは絶対に口にしない。
ただ「これが好きなら、こういうのも好きなんじゃない?」みたいな話の持って行き方をする時はある。でもそこ止まりです。だってくだらない知識を開陳して空気悪くしたくないもん。つか単純に、必死でマウント取るなんてカッコ悪いと思ってるから。

そういやPUFFYの「アジアの純真」が流行った頃、アタシより20歳ほど年長の人がさらっとサディスティックミカバンドの「タイムマシンにおねがい」をかけた時はカッコ良かったなぁ。PUFFYの初期の楽曲はビートルズをはじめいろんなところから「つまみ食い」(しかもあからさまに「元ネタ」がわかるように)してるのが特徴だけど、アタシレベルでも気づくビートルズではなく「タイムマシンにおねがい」ってのがニクい。
見下したり態度の輩から元ネタなる△△って楽曲の存在を知っても、△△のことも、それを作った人のことも興味を持つどころか嫌悪感さえ生まれます。しかしこういうやり方をされると元ネタに興味が湧く。もちろん元ネタを作った人にリスペクトの気持ちが生まれるし、さらっと元ネタを教えてくれた人にもリスペクトしてしまう。要は誰も損してないんですよ。

まァ、確実なのは、パクリって言葉を口にして、良いことなんか何もないね。何というか、髪の毛が薄い人に「ハゲ!」って言って喜んでいるような、いや違うな。みなが普通に口にしてるものにたいして「それ、実はメチャクチャ身体に悪いのに!んなもん食ってるヤツはアホ!」と叫んでるような感じ、の方が近いか。
これはパクリそのものが良い悪い以前の話ですからね。もういい加減サスペンスを見て「人を殺すのは悪いこと!」みたいな発想、本当に止めた方がいいんじゃないの?ねぇ。







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