意識高い系嫌いをムキーッ!とさせたい
FirstUPDATE2018.4.1
@Scribble #Scribble2018 #デザイン #Mac #施設 @戦前 #UI/UX 単ページ NIPPON 亀倉雄策 山名文夫 名取洋之助 スターバックス カフェ

いや、本当に煽るつもりは、まったくないんだけどね。つかある意味自分も含まれる話なので。

まァ大半はっつーかほぼ全部は決めつけですが、どうもネット民は意識高い系が嫌いなようです。
スタバでMacBook使ってドヤ顔、とか、いったい誰が最初に言い出したのか気になるくらい、意識高い系嫌いのすべてが詰め込まれている。
いったいぜんたい、スタバのどこが、マック(=Mac)のどこが意識高いんでしょうか。つかこのご時世、スタバもマックもオシャレでもなんでもない。ごくごくありふれたものでしかないわけで。
そんなものに特別な意識を持つ方がどうかしてるのですが、まァ、何でそうなっちゃったかは、何となくはわかります。

スタバもマックも、まァいや、かなり身近なものなのですよ。特別な場所に行かなくても、普通に街を歩いたりするだけでも目に飛び込んでくる。本当のところ、ドトールやベローチェとスタバ、Windowsとマックはそんなに変わらない存在なのです。
値段が違うと言われてもね。スタバはベローチェなんかよりは高いけどタリーズやエクセルシオールと変わらないし、マックはラインナップが少ない(エントリー向けの機種がほぼない)ので高く思えるけど、仕事に使うにはそこまで高くはない。
ただ、何というか、いわゆる仮想敵を作りたいんだろうし、スタバやマックってのは仮想敵としては「ちょうど良い頃合い」なんでしょう。

しかし、アタシはね、スタバやマックはたいしたものだと思うんですよ。嫌味でもなんでもなく。
ドトールやベローチェも「意識高い系嫌いに嫌われないために」オシャレさを抑えているわけじゃないと思うんです。マイクロソフトやGoogleだってそんな意図は微塵もないと思う。
マイクロソフトもGoogleも、これがオシャレだ、みたいな感覚でGUIを提供してるはずだし、絶対そこを目指していると思う。

この際Appleが本当にオシャレかどうかはどうでもいい。けどAppleは意識高い系嫌いから嫌われるくらいのオシャレさを達成出来て、かたやマイクロソフトやGoogleは達成出来ていない。
オシャレなデザインとは何なのか、これは非常に難しい問題です。時代によっても変化するし、民族毎に好みのデザインもあると思う。んで前も書いたけど、万人がオシャレだと思うものなんかあるはずがない。アタシもデザイナーの端くれだから、それは本当によくわかる。
そうなると目標をどこに置けばいいのかわからなくなりやすいんです。もちろん最終的には「己の感覚を信じる」しかないんだけど、主観的ではない客観的な目標を掲げづらいわけで。

そういう時、実は「意識高い系嫌いに嫌われるか否か」というのは、わりと有能な指標になると思う。
当然「意識高い系嫌いに嫌われるデザインとは何ぞや」という分析は必要だけど、現今嫌われているデザインをピックアップしてやれば必ず共通項は見えてくるはずです。

もちろんね、意識高い系嫌いに嫌われたから良いデザインかといえば、それはまったく違うし、意図的に意識高い系嫌いに好かれるデザインを採用した方が良いこともいっぱいあると思う。というかデザインの良し悪しは所詮比較でしかみれない人が大半なので、それこそPocketPC全盛期に今のAndroidのGUIが登場していたら、おそらく「Androidなんて使う奴は意識高い系!」とこっ酷く批判されたと思う。
そういうことも含めてね、ネット上の意見も取り入れ方によっては参考になると思うんです。

ではあんたはどうなんだってなれば、エントリタイトル通り、どうせやるなら意識高い系嫌いをムキーッとさせたい。意識高い系嫌いに好まれるデザインは比較的ハードルが低いけど、意識高い系嫌いに嫌われるデザインなんて成し遂げられている人は限られてるわけだし。
渡辺プロダクション創始者の渡辺晋は「時代の半歩だけ先を行け。それ以上先を行ったら大衆がついてこれなくなる」といったのは至言です。
そしてこれはデザインにも通じる話だと思う。

戦前期に名取洋之助っていうカメラマンが「NIPPON」という、実に先進的な雑誌を発行したことがありました。写真のクオリティが高いのはもちろん、グラフィックデザインに若き日の亀倉雄策(のちに1964年の東京オリンピックのポスターをデザインしたことで有名)や山名文夫(のちに資生堂の広告を手がける)を起用するなど、今の目で見ても「NIPPON」のレイアウトは本当にクールでカッコいい。
しかし「NIPPON」という雑誌で発揮されたデザインセンスに当時の大衆がついてこれたとはとても思わない。ま、「NIPPON」はあくまで海外輸出向けの雑誌だったからそれでも良かったんだけど。

正直「NIPPON」まで時代の先を行ってしまうと、おそらく意識高い系嫌いもポカーンとなっちゃって、叩くことすら出来ないと思う。
そこへいくとスタバとかApple製品は半歩しか先を行っていない。だから大衆性もあるし、けど意識高い系嫌いに嫌われるんだと思う。
「NIPPON」とApple製品、どっちがデザインとして難易度が高いかでいえば、これはApple製品だと思うんですよ。時代の先を行きすぎるってのは、もちろんそれはそれでセンスが必要なんだけど、上手く微調整して「半歩だけ」に止めるのはデザインセンスだけでなくビジネスセンスも問われるってことだと思うから。

つまり「頑張って頑張って、ようやく半歩先を行くことが出来た」ってんじゃ、すぐに大衆に追いつかれる。一歩も二歩も先を行く能力があるのに「あえて」ってのが重要だから。
そう考えると難しいね。意識高い系にムキーッてさせるのって。アタシはデザインセンスも自信ないけどビジネスセンスなんてもっと自信ないもん。

ま、アタシは頑張って頑張って、0.25歩先でも目指しますか。







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