ヨッさんに涙そうそう
FirstUPDATE2018.3.20
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別に歌の方の「涙そうそう」について、とくに何も書くこととかなくて、ま、野球の話です。

トシをとると涙脆くなると言われますが、これ、実際どうなのかわからないのですよ。
つかアタシは野球絡みで泣くことなんか昔からあった人間なんです。それこそ1985年に優勝した時はもちろん、ひとりで野球を観に行って、新庄が大ファインプレーをして涙が止まらなくなったことさえある。あれ、恥ずかしかったな。何しろひとりだから。
試合を観てても泣くし、試合でない野球関係のことでも泣く。泣いてばっかり。
いやアタシはフィクションとかであまり泣かないのです。もちろん普段の生活で泣くこととか本当にない。つまり根っから涙脆い人間でもなければ感激屋でもないわけです。
だけれども野球は別っつーか、野球だけは些細なことでも泣いてしまう。何でなんだろうね。

今年に入ってすぐ、いきなりアタシを落涙させたニュースと言えば星野仙一逝去のニュースです。
星野仙一が亡くなったことももちろん悲しいんだけど、それより普段は明るい下柳とか平田が泣いてるのを見て、アタシも我慢出来なくなった。あれは辛いわ。マジで。
星野には泣かされたことが多いなぁ。優勝した時もだったけど、日本シリーズで敗退した時は死ぬほど泣いた。奄美大島行きのフェリーの中で退任会見の記事を読んで、もう嗚咽が出るほど泣いた。あんだけボロカスに泣いたことなど後にも先にもないほど泣いたよ。

そういや現監督の金本(現注・2018年当時)にもいっぱい泣かされた。
骨折した翌日の巨人戦でヒットを打った時なんか「コイツ・・・何てアホなんや・・・」と、この時も涙が止まらなかった。少なくともこの時は自分の記録がとか関係なく、いや結果としては関係あるんだけど、自分のためではなく記録を期待しているファンのために出ているってのが嫌ってほどわかったから。そして結果を出すんだから、泣けて当然でしょう。
もうひとつ金本で言うならソフトバンクとの交流戦で三瀬から死球食らってね、その後の阪神の選手の顔つきがマジで死にものぐるいだった時も泣けた。

最近の話で言うなら横田ですよ。
もう普通に練習してるのが映るだけで泣けてくる。本当、これからどうなるかわからないけど、でも今の時点でもう十分すぎるくらい感動を与えてくれてるんだよ!と叫びたくなってしまいます。
もうこれ以上はないってくらい頑張ってるのはわかるから、あらためて頑張れなんて言わないけど、横田のことは心から応援しています。

んで、ここからが本題。
今アタシが「この人の言葉なら、何でも泣けてしまう」のが吉田義男です。
思えば1976年、アタシが野球なる摩訶不思議なスポーツを見始めた年ですが、この時の阪神の監督は吉田義男でした。
しかし吉田義男の評判はけして芳しいものではなかった。といっても采配云々ではなく、とにかく普段の言動をあげつらった批判が多かった。
そのさいたるものが、とにかく吉田はケチだ、と。何しろタバコの一本一本にまで名前を書いてるんだからね、と。

ちなみにこの話は完全なデマです。ま、名前を書いていたのは本当らしいけど、それはパッケージに書いてただけで、というのもロッカーにタバコを置いておくと間違えたのかわざとなのか、すぐタバコがなくなったらしい。
そこでわかりやすくするためにタバコに名前を書いたら尾ひれがついて「一本一本に名前を書くようなケチ臭い男」みたいになったと。「そんなもん、一本一本にとか、めんどくさすぎて出来ますかいな」と吉田は笑ってましたが。
第二次政権の退団騒動の頃は、あまりにも記者が多くてフラッシュ(ストロボ)の雨あられを浴びたので、シャレで「傘でもさしましょか?」と言ったら、翌日のスポーツ紙に「吉田、記者に「傘で刺したろか!!」」となったり、まァ悪いようにとられることにかんしては阪神でもトップクラスでした。

ただ、そんなことを乗り越えて、フランスで野球を教えたり、キャリアのマイナスにしかならないのがわかっていながら三度目の監督を引き受けたり、彼の野球愛、そして阪神愛は日に日に「慈愛」に近くなった、と思う。
そして、吉田も80歳を過ぎた。もうこれ以上のキャリアの積み重ねもクソもないし、現場復帰なんかあるわけがない。
だから、もう、とにかく何を喋っても、阪神への慈愛の意味しかない。

こんな人はいないし、なろうと思ってなれるものでもない。とにかく己のプライドや虚栄心みたいなものがまるでなく、ただひたすら、本人の言葉を借りるなら「老婆心」だけで、阪神の選手にエールを贈る。
だからアタシも泣ける。あえて「ヨッさん」と言わせてもらうけど、ヨッさんを老害なんていう人がいたらアタシは許せない。こんな真心だけで選手にエールを贈れるかつてのスーパースターがどれだけいる?

ヨッさんほど深く長く阪神に関わってきた人は、いない。当然暗部も恥部も嫌ってほど見てきたんだろうな、というのは想像に難くない。
そんな人が慈愛だけで阪神に、そして阪神の選手にエールを贈る意味を現役の選手にもわかって欲しい。
たいがい阪神は特殊なチームだけど、人生経験が浅い人が上部だけ見て判断するほど、阪神ってチームはダメじゃないぞ。そりゃダメなところは山ほどあるんだろうけど、それを超えるだけの魅力に溢れたチームなんだぞ、と。







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