ロンドンのカフェで脳内に鳴り響く「かあさんおはよう」
FirstUPDATE2018.3.9
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 このタイトルを見てピンとくる人はそう多くないでしょうが、「かあさんおはよう」は「母をたずねて三千里」のエンディングテーマです。が、ちょいと、この曲絡みの話を。

 さて、アタシは2012年8月から2013年2月までロンドンに滞在していました。
 正直、この頃のことはかなり意図的に書かないようにしています。というのも場所がロンドン、ま、ヨーロッパだってことはありますね。
 こっちに一切そんな意識がなくても、どうしても「ロンドンに滞在していた時に~」なんて話は嫌味ったらしく映りやすい。何というか、ゴールドカードをチラつかせてる、みたいな。

 実際は相当カツカツの状態での滞在であり、まるで贅沢なんか出来なかった。もっとはっきり言えば貧乏生活を送っていたんだから、正直自慢出来ることなど何ひとつないんですがね。
 もちろんまったく書かないというわけではなくて、何度かは書いているんだけど、今回も、ま、ロンドンでの出来事が起点になっています。
 この時点で「ケッ!何がロンドンだ」と思われるなら、お読みにならない方がよろしいかもね。

 アタシがロンドンに滞在して軽く驚いたことは、イギリス人って意外なほど紅茶を飲まないんですよ。
 どうもイギリス=紅茶ってイメージがあって、それこそアフタヌーンティーとかね。イギリス発祥の紅茶ブランドもいっぱいあるし、生粋のロンドンっ子は「そんなん、紅茶に決まっとりますがな。コーヒー?あんなん人間の飲むもんやおまへん」みたいな感じだと思っていたからね。

 そんな昔からの話じゃないかもしれないけど、少なくとも現代のロンドンの人はコーヒー大好きです。だから街中に山ほどカフェがある。一応、みたいな感じでカフェに紅茶も置いてあるけど、頼んでいる人を見たことがない。(ま、チャイはたまに頼んでる人はいたけど)
 だからか、ロンドンでもチェーンのカフェは幅を利かせており、主だったところでいえば、コスタ、カフェネロ、スタバ、プレタマンジェ(は半分サンドイッチ屋だけど)といった感じでしょうか。

 アタシがとくにお気に入りだったのはカフェネロで、ここはイタリアンローストなんですよね。日本に帰ってきてからもたまに飲みたくなります。日本ではイタリアンローストのカフェとかあんまりないから。
 もちろんスタバにもよく行った。やっぱスタバは一番入りやすいし注文しやすい。
 ホルボーン駅の近くのスタバは完全に馴染みになって、店員に顔を覚えられてたんだよね。パニーニなんか頼むと「ウォームプリーズ」なんて言わなくても勝手にあっためてくれるレベルで。
 というか日本ってパニーニとか頼んでも全部レンジでしょ。向こうはプレスのヤツであっためるから、多少ペシャンコになるけど香ばしくて美味しいんです。あれ、日本でもやって欲しいわ。

 で、ホルボーンの馴染みのスタバじゃなくて、たしかハマースミスの近くのスタバだったと思うけど、隣の席の人がね、もうマルコのお母さんそっくりでさ。
 マルコってのは最初に書いた「母をたずねて三千里」の主人公ですが、もうその人を見た瞬間

「おいマルコ!お前のかあさんアルゼンチンじゃなくて、ロンドンのスタバでラテ飲んでるぞ!!」

 と叫びたくなりましたもん。
 あ、もちろん「母をたずねて三千里」の最初の舞台はイタリアですし、マルコもマルコのお母さんもイタリア人ですが、まァロンドンもヨーロッパですからね。その手の人がいても不思議でもなんでもないわけで。

 んで、その瞬間から頭の中で「かあさんおはよう」が鳴り響いたっていう。つかもう、ロンドンに滞在している間中、ずっと。主題歌の方じゃなくてエンディングテーマの方。ま、お母さんを見たんだからそうなるわな。
 しかしこの「かあさんおはよう」はアニメソングとしてものすごく完成度が高い。
 まず三拍子ってのが珍しいんだけど、ここからあえて歌詞に話を向けます。

♪ 朝ァぼォくをォ おこォしたおひいさァまがァ
 ほら もお 真上ェ 今ァかあァさんんを 起こォしてェるんだ~

 作詩は「母をたずねて三千里」の全話で演出を手がけた高畑勲です。が、この歌詞はすごい。何というか本職の作詞家では思いつかないっつーか、マルコとお母さんの距離を太陽の動きに託してるのは天才的と言っていい。演出家だからこその歌詞、というか。
 この歌詞の空恐ろしさに気づいたのがロンドン滞在中だったってのもアタシ的によく出来た話で、太陽を見上げるたびに「今、日本でこの太陽はどのくらいの角度なのかな」とか思うようになった。ま、ロンドン時間の夕方を除いたらほとんど日本は夜なんだけど。

 ただ、今となって惜しいと思うのが、マルコのお母さんのそっくりさんを見たのがスタバってところなんですよ。
 言うまでもなくスタバはシアトル系のカフェですが、これがイタリアンローストが売りの、アタシのお気に入りだったカフェネロなら完璧だった。そしたら

「ああ、ロンドンに来てもイタリアンローストの方がいいのか。聞いてるかマルコ」

 って思えたのに。
 ま、シアトル系カフェにいるってのは、それはそれで面白いんだけどね。え?イタリアに帰らない理由って、まさかコーヒーのローストの問題?みたいな。

 といってもアルゼンチンのコーヒーがイタリアンローストに近いかシアトル系のローストに近いか知らないけど。

コカ・コーラ社からコスタのペットボトルが発売されたし、一部シネコン等ではコスタのコーヒーの販売が始まってますが、カフェネロは進出しないなぁ。やっぱロンドンまで行かなきゃダメなのか。しかしカフェネロのモカを飲むためにン十万円ってのはなぁ。




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