女体化すべきは「坊ちゃん」?
FirstUPDATE2017.12.22
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「女体化を愉しむ」という行為を一種の性癖と捉えるべきかどうかは結構迷うところです。

おそらくはね、両方いると思うんですよ。「ONE PIECE」のルフィや「ドラゴンボール」の悟空を女体化して、パロディとして笑って見てる層と、女体化したキャラクターを性的対象と看做している層とにね、分かれると。
そういや「大奥」を男女逆転させた映画(元は小説?)がありましたが、あれは一応史実というものがあるわけです。と言うことはつまりは奇想天外なSFになってしまうわけで、たぶん女体化とはカテゴリが違ってきちゃう。坂本龍馬や沖田総司を女性化するのもSFの範疇でしょうね。

やはり女体化ってからには完全にフィクションのキャラクターでなければならないような気がする。
まったく知らないのでテキトーですが、同人誌やpixivなんかはフィクションキャラクターの女体化はジャンル化してるみたいだし、結局最終目的が性行為(もしくはそれに準ずる)に行き着く場合も多いようで、アタシの興味からは著しく離れてしまいます。
まァ、たぶんそれが本来の女体化の目的なんだろうし、むしろアタシが思う女体化の方が本筋からズレまくりなんだろうけど。

アタシの思う女体化ってのは「キャラクターの一部を女体化する(あるいは全キャラクターの性別を逆転させる)ことによって、作者が描きたかった世界がより如実になる二次創作」だと思ってる。
いや本当に作者が描きたかった世界かどうかは、どうでもいいっちゃいいんです。だけれども最低限「この物語はこういう解釈もある」くらいはクリアしておかなきゃいけないと思う。

たぶん発想的にはさっき書いた「大奥<男女逆転>」が一番近いような気がする。あれも男性を女性に、女性を男性に置き換えることによって大奥というものの本質を突こうとしたものだろうし。
しかも「大奥」はかなり知れ渡った話(ストーリーはそれほどでもないか。ま、設定、ですね)なのも相応しい。二次創作たるもの、コミケなどの限定的な場所でしか販売が想定されていないものを除いて、やっぱ「毎度皆様お馴染み」の話の方が良いに決まってるから。

毎度皆様お馴染み、な話で、男女逆転させた方が物語の趣旨が浮かび上がりそうなものはいろいろあるけど、とりあえずやったら面白そうなのは夏目漱石の「坊ちゃん」です。つまり主人公の坊ちゃん他を女体化させる。

いや、二次創作ではない形であれば、そんなのはいっぱいあるわけです。たとえば大和和紀の「はいからさんが通る」なんかも、主人公の造型は坊ちゃんの主人公がモデルになったと推測できる。
「はいからさんが通る」に限らず、もう「坊ちゃん」なんて古典を超えてルーティーンにすらなってる。それくらい普遍的な構造を持っており、いくらでもバリエーションを作ることは可能です。
しかし完全な二次創作で女体化された「坊ちゃん」ってあったっけ?少なくともアタシは知らない。もしあったらゴメン。

親譲りの無鉄砲で小供[ママ]の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。


これが「男性」ではなく「女性」だとするなら、これはかなりそそられる。子供時代の「お転婆エピソード」としては申し分ない。というか男性が肩入れしたくなる女性像です。
それだけじゃない。赤シャツやうらなりも女体化されることによって、話は一気に閉鎖的集団の陰険な「オンナの世界」に突入する。

マドンナは当然男性化させるんだけど、「坊ちゃん」本編自体、坊ちゃんとマドンナの絡みは淡いわけで、こうなると余計「遠くから眺めるだけの王子様」感が出る。
問題は清だな。この人だけは男性化させたらよくわからなくなる。執事みたいな感じにしちゃうと、どうもニュアンスが変わってしまう気がするし、母性と父性は違いすぎるので物語が崩壊してしまうんじゃないかと。

アタシが思うに「坊ちゃん」は流転の物語なのですよ。主人公の性格からして東京に舞い戻っても、そこでおとなしく人生を全うするようなタマじゃない。(アタシが昔書いた「ニッポン無責任野郎」や「江分利満氏の優雅な生活」の主人公のように「こういうふうにしか生きられない」キャラクター造型の極めて初期の例かもしれない)
つまりは、かなりとんでもない自由人なのです。
ま、はっきり言えば結婚なんてもんにはまるで向いていない。手足を縛って我慢させても、それはそれで突拍子もない行動を起こす可能性がある。

そんな人物を女体化させるとさらにとんでもない人間になってしまう。いやムカつく相手に生卵を投げつけるような嫁、と考えるだけで目眩がしてくる。
だけどね、そういう女性って描き方によってはとても魅力的になる。少なくとも良妻賢母を予感させるような女性よりもよほど魅力的に描けるのです。
結婚さえ考えなければというか、仮に結婚しても「コイツに振り回されるのは目に見えてるけど、自分はそっちの方が良い」と考える男性も一定数いるだろうから、構わないっちゃ構わない。ま、いってもフィクションなんだしさ。

どうかね。結構今の世代の、具体的にはアニメやラノベしか興味を示さないような人にもウケると思うんだけど。誰か書いてみない?







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