CS制度を死ぬ気で考える
FirstUPDATE2017.11.13
@Scribble #Scribble2017 #プロ野球2017年 #妄想 単ページ クライマックスシリーズ

えと、例外が発生した時はこうやって最初に「令和の世界からこんにちは」とやっているのですが、もちろん今回のエントリも例外に該当します。

このエントリ、本来は3回連続の、つまりScribble化するにあたって除外の対象である<連作>に相当するのですが、気持ち的に残しておきたいし、少なくとも時代の<空気感>は出てるので、例外扱いていいんじゃないかと。
3回分のエントリを1回に結合してあるので当然長いですが、お読みいただければ幸いです
ではどうぞ。

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何度も何度もいいますように、アタシはクライマックスシリーズ(以下CS)そのものに反対です。これは制度が始まって以来ずっと変わらない意見でしたが、テメエの贔屓の阪神がCSに弱いからだろ、と言われるのが嫌で黙っていました。

それが2014年、CSを突破し日本シリーズに進出したことで初めて声を上げられるようになった。
実際2014年の日本シリーズは本当につまらなかった。2003年に激闘を繰り広げた同じホークス相手だったのに、勝とうが負けようが感情が何も動かなかった。
アタシは計4度阪神が日本シリーズに出たのを見たことになるけど、1985年や2003年との比較ではもちろん、スイープされた2005年よりもつまらなかったんだからよほどです。

だからアタシの本心はCS廃止です。CSなんて軒を貸して母屋を取られるみたいなもんだと思ってる。もちろん軒がCS、母屋がペナントレースです。
しかし、もうこうなった以上CSは廃止に出来ないでしょう。今年(現注・2017年)も阪神が無理矢理3試合やって、9億もの儲けがあったとなればソロバン勘定としては辞めるわけがない。
こうなったらアタシとしても、廃止ではなく改革という現実路線で行くしかないわけで。
まずはCSの利点を挙げておきます。

・消化試合が減る=3位球団、4位球団、下手したら5位球団までペナントレース終盤まで利益が確保できる
・1位球団と2位球団に莫大な利益をもたらす

もうカネが仇みたいな話になっちゃうのでウンザリなのですが、結局行き着く先は12球団中最低8球団、最高10球団の収支に関わってくる、だから辞めるに辞められない、というのが本音でしょう。
正直言って、2位争い3位争いで白熱することの方が狂ってると思っているので、ファンが楽しめるってのは勘定には入っていない。いないんだけど、2位争い3位争いのおかげでファンが球場につめかける=消化試合が減るって理屈も間違いではない。
ただ、やはり、2位争い3位争いで盛り上がってるファンは「あんたたち、騙されてるんじゃないの?」という気持ちも強いわけでね。

ここで比較になるのはメジャーリーグのポストシーズンです。
しかしメジャーのポストシーズンと日本のCSは何もかも違う。それは制度の不備とかそんな話じゃなくて、そもそも土台が違うのです。
メジャーリーグは言うまでもなく、ナショナルリーグ、アメリカンリーグ合わせて30球団あります。そしてポストシーズンに進出出来るのは内10球団。1/3です。所属チームの少ない日本のプロ野球(CSに進出出来るのは半分の6球団)とはまるで違う。

そしてポストシーズンの試合数も圧倒的に多い。さらにはポストシーズンの試合を消化する、と言うことを考えても、向こうは試合開始がどれだけ遅れても絶対にやるし、いやそもそも雨自体が少ないから、中止になるような天候の方が珍しいし、待っていたら止む。
そこだけとっても、日本は絶対に真似出来ない。これはシステムの問題ではなく気候の問題だから。
つまり何が言いたいのかというと、メジャーリーグの猿真似はハナから無理なのです。球団数も気候も違うのに真似出来るわけがない。

しかしただひとつ、メジャーリーグのポストシーズンに準わなければいけないことかあります。
それは基本的に首位のチームしかポストシーズンに進出出来ない、というところです。
メジャーは球団が多いので、ナ・リーグをア・リーグをさらに細分化して東地区、中地区、西地区に分けていますが、地区単位とはいえ首位でなければポストシーズンに出られません。
はい、言いたいことはわかります。ワイルドカードのことですね。メジャーはポストシーズンの試合数を増やすために、たしかにワイルドカードというものを設けている。各リーグから地区関係なく首位以外のチームから勝率の高いチームがふたつ、ポストシーズンに参加出来ます。

しかしワイルドカードからポストシーズンに進出できるのはたった2チーム。両リーグ合わせて4チームしかない。30分の4です。ところが日本の場合、12分の4。倍以上。しかも勝率関係なく2位もしくは3位なら無条件にCSに出られるし、首位チームとの差異は開催権とアドバンテージだけ。
メジャーははっきり「ワイルドカードで進出した」つまりあきらかに敗者復活戦から勝ち上がってきたってのが強調されてるし、そもそも地区ごととはいえ首位同士のガチンコ対決があった上でワイルドカードのチームとも戦うことになる。

日本のプロ野球で2位と3位のチームはメジャーでいえばワイルドカードで進出したチームなのです。
首位のチームが1つ(メジャーは3つ)、ワイルドカードのチームが2つ(メジャーも2つ)ってのを見てバランスが悪いと感じない方がおかしい。
このバランスの悪さがあるから不公平感が出る。リーグ優勝したはずなのに日本シリーズに出られない。それはしょうがないにしても、相手はワイルドカードのチームである。納得するしかないけど、モヤモヤが消えない。
だったら、もう、もうひとつ首位のチームを「作る」しかないと思うんですね。

さてここからは、セ・リーグ、パ・リーグの両方から首位チームを複数出そうと思えば、どのような方法があるか、というのを考えてみます。
まずは昔パ・リーグがやっていた前後期制ってやつ。百何十試合だかを半分に分けて、それぞれの優勝チームがプレーオフで戦う、まァざっくり言えばこんなシステムです。

しかし今となってはっつーか当時からわかってたことだけど、実はあんまりよろしくない。
まず現行のシステムの利点として「消化試合が減る」というのがありますが、前後期制だと逆に増えてしまう。そのこともあって廃止になったわけでね。
それに、もし前後期とも同じチームが優勝したらどうするのかも問題です。

昔のパ・リーグの場合、その時はプレーオフは実施しない、というシステムでしたが、ポストシーズンの収益が最大の目的でCSなんてもんを導入したんだから、ポストシーズンは行わない、という選択肢はあり得ないわけです。つまりは今のCSの理念(なんて立派なもんじゃないけど)に反するんだから、前後期制は難しいという結論になってしまいます。

同じリーグから優勝チームを「必ず」ふたつ出す。これは簡単なようでなかなか難しい。「必ず」となった時点で、たとえば交流戦の戦績で、みたいなことは出来なくなってしまいます。
そこで、正直メチャクチャ良いアイデアではないのですが、アタシはメジャーよろしく「リーグを東西ふたつに分ける」という案を推すことにします。
セ・リーグはわかりやすい。ファームのウエスタンリーグに所属しているチーム(広島、阪神、中日)が西地区、イースタンリーグに所属しているチーム(横浜、巨人、ヤクルト)が東地区、といった具合です。

ところがパ・リーグは分け方が非常に難しい。
普通に分けたらというかイースタンリーグの区分けに従うなら、西地区2チーム(ソフトバンク、オリックス)、東地区4チーム(西武、楽天、日本ハム、ロッテ)になってしまうからです。こうなると分け方を根本的に変えなければいけなくなる。
もうこうなったら西武かロッテのどちらかをソフトバンクとオリックスの方に振り分けなきゃいけない。
そこで甚だ強引ではありますが、ソフトバンク、オリックス、ロッテを南地区、西武、楽天、日本ハムを北地区にします。
たぶん納得出来ない人が多いだろうけど、とりあえずこうしておく。でないと永久に話が進まないもん。

さて、一応各リーグをふたつに分けたわけですが、重要なのは「日程的には今と何ら変わりはない」ということです。
つまり、たとえば西地区のチームは西地区のチームとだけ試合をするわけではない。というか阪神でいえば広島も巨人も対戦数はまったく同じです。そこを弄りだしたら反対が大きくなりすぎるので、あえてアンタッチャブルでいきます。
しかし順位表はふたつに分ける。今年なら西地区の優勝は広島、東地区の優勝は横浜、北地区は西武、南地区はソフトバンク、ということになります。

しかし単純にこうしただけではCSの試合数が減ってしまう。そこでメジャーのようにワイルドカードを採用する。当然セ・リーグは阪神、パ・リーグは楽天が選ばれる。
そして各地区の勝率が低い方の優勝チームとワイルドカードのチームが対戦し、その勝者とリーグでもっとも高い勝率のチームが戦う、という寸法です。

こうなると今年でいえば3位の横浜が地区優勝チームで2位の阪神はワイルドカード扱いになってしまうのですが、もうこれはどうしようもない。
というか順位表という形ではっきり「西地区2位」となってたら、つかセ・リーグ全体の順位表が公式に存在しなければ、わりと素直に受け止められると思う。別にセ・リーグとパ・リーグの順位表を見比べてどっちの勝率が高いとか、普通はしませんから。たぶんすぐに慣れると思う。

このシステムで一番の問題は「もし地区で貯金・借金が偏ってしまったらどうなるのか」です。
たとえば西地区の広島、阪神、中日が大幅に貯金して、横浜、巨人、ヤクルトが膨大な借金を背負ってしまったら、みたいな話です。
たとえば二桁借金のチームが地区優勝になる可能性も出てくるわけですが、アタシ個人の考えとしては、それは構わないと思います。

今だって交流戦があって、何年か前にセ・リーグ全球団が借金状態なんてこともありましたし、現今の制度でも優勝チームが借金持ちになる可能性が、あるかないかでいえばあるわけで。
本当はある程度対戦試合数に差をつけて、阪神なら広島や中日とは30試合、横浜や巨人やヤクルトとは20試合とかにしたら片方の地区だけ異様に貯金や借金がかさむってことはなくなるのはわかってるけど、今回は理想論はすべて排除して「現実的にどれだけ可能なのか」が主眼なので、こうするしかないっつーか。

CSへの出場チームの選出が決まれば全部決まりではありません。
本当はここからが大変なのです。つまりは「如何にスムーズかつ納得がいくCSの日程を組むことが出来るのか」が重要になってくる。
途中に書きましたように、いくらメジャーの真似をしようとしたところで、日本とアメリカでは気象がまったく違う。だからスムーズにCSの試合を消化するのが如何に難しいことなのか、これは最大限考慮する必要があります。

今のCSは2位と3位の対戦がファーストステージ、その勝者と首位のチームの対戦がファイナルステージと呼ばれています。ややこしいのでこの名称をそのまま用いますが、ファーストステージにかんしては「100%確実に試合を消化できる」ことを最重要視します。もう今年のようなことは御免ですから。
となると球場はドーム球場でなければならない。だけれども屋外球場が本拠地のチームもあるわけで、そこをどうするかです。

となると勝率が低い方の地区優勝チーム、ワイルドカードで進出したチーム、どちらの本拠地でもダメだと思う。ファーストステージの時点では「そこ」に差をつけちゃいけない。ファーストステージに限り主催は連盟がやって、勝敗にかかわらず地区優勝チーム7、ワイルドカードチーム3で分配すればいい。
ドームでどちらの本拠地にもなり得ない、となったら、セ・リーグのファーストステージはヤフオクドーム、メットライフドーム、札幌ドームのいずれか、パ・リーグのファーストステージは東京ドームかナゴヤドームのいずれか、になります。

個人的にはセ・リーグは札幌ドーム、パ・リーグはナゴヤドームが相応しいと思う。どこの球団の本拠地からも離れているし、公平感があるから。
全試合地区優勝チームが後攻め。試合数はマックスで3試合。ただし地区優勝したチームは1勝した時点で勝ち上がり。ワイルドカードのチームは3連勝しなければファイナルステージには進出出来ません。
一見現今より厳しいみたいですが、本拠地のアドバンテージがない分、そして後述のメリットがある分これくらいが妥当でしょう。

たしかにワイルドカードのチームにとってファーストステージ突破は厳しいのですが、その代わりファイナルステージは地区優勝したチームと同等に扱われる。つまりファイナルステージはアドバンテージはなしです。だって地区優勝チーム同士の対戦の可能性が高いんだからアドバンテージがある方がおかしいでしょ。
ファイナルステージは4勝勝ち上がりで、1戦2戦6戦7戦と3戦4戦5戦で球場が変わります。つまり日本シリーズとまったく同様です。

4試合本拠地で戦えるのはリーグで一番勝率が高いチーム、つまりファーストステージに出場しなかった方のチームの本拠地から始まる。
今年でいえばマツダスタジアムで1戦2戦6戦7戦、残りは横浜と阪神の勝者の本拠地ってことになります。
試合数はファーストステージはやや減、ファイナルステージはやや増になる可能性が高く(勝ち抜けである限り確実ではないが、それは今も一緒)、トータルでいえばトントンくらいではないでしょうか。
しかも1チームが大きく利益を独占することもなく、ファイナルステージまで進出出来ればリーグ戦の戦績にかかわらず収益をあげることが出来るのも魅力でしょう。
これでとりあえず

・シーズン終了時点で決まるのはあくまで「地区優勝」チームであり、リーグ優勝チームなのに日本シリーズに出られない不公平感はなくなる

・消化試合が増えることはない(今と同じくらいか?)

・CS特需もそのまま

恩恵はそのまま、さらに不公平感も消えるわけで、アタシ的にはわりと良い案だとは、思う。
マイナスとして貯金チームと借金チームが片方の地区に片寄る可能性はあるんだけど、下手に交流戦の戦績を含めたり、たすき掛けでCSをやったりするよりはよほどマトモだと思う。

アタシはね、優勝チームは優勝が決まった時点で喜びを爆発させられなきゃウソだと思うんですよ。
逆に優勝できなかったチームは優勝を逃したことが決まった時点で本気で落ち込むべきだとも思う。
そう考えれば、本当はワイルドカードなんか必要ない。地区優勝チーム同士がガチンコでリーグ優勝を争う。本当にそれだけで十分だと思うし、ファンが本気で燃えるのはそっちだってのはわかってる。アドバンテージがないのであればCSの試合数は今と変わらないはずだし、どうしてもって言うなら5勝勝ち抜けでもいい。これならむしろ試合数は増えるでしょう。当然日程も組みやすい。

でもそれじゃ消化試合の問題が解決出来ない。いやホンネをいうなら消化試合は消化試合で必要なはずなんです。消化試合で若手に経験を積ます、なんてCSが始まる前は当たり前のようにやってたことだし。今年だって巨人なんか、ギリギリまでCSを争っていたら、純粋に消化試合だったのは1試合だけ。若手もその1試合しか試せなかった。それは本当に良いことなんでしょうか。
ま、すべてカネありきの話になってしまうと、消化試合で若手を試せなんて、寝言も大概にしろみたいな話になってしまうんだけど。

ギリギリ、限界まで妥協して、たとえ地区でも優勝出来なかったチームがCSに出場出来るのは各リーグ1チームまでです。1リーグ6チームしかないのに2チームもワイルドカードで出ちゃいけない。
そして何よりペナントレースの価値を落としちゃいけないんです。
全部を面白くしようよ。んで納得出来るシステム作りをしようよ。それはけしてメジャーの真似ではないはずなんだけどね。