摩訶不思議な宮川泰のベスト「幸せのバビラトラリラ」
FirstUPDATE2017.9.22
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表題の「幸せのバビラトラリラ」って曲は1980年に放送された「メーテルリンクの青い鳥」の主題歌だけど、このアニメは見てなかったので曲の存在を知ったのはつい最近です。

しかしメロディはずっと昔から知っていた。知らなかったのはメロディ以外の、タイトルや歌詞、そして作編曲者の名前です。
さて、話は大幅に変わりますが。
ふと気が向いて昔のアーケードゲームのことを検索したりなんかすることがあるんだけど、これは音楽と同じく「後年になってからも意識しまくった」ゲームなんかはちっとも懐かしくないんですね。
アタシでいえば1980年代前半のナムコのゲームとか最たるもので、今もって影響を感じている「ゼビウス」とか「マッピー」とか、懐かしいを超えて普遍の存在です。

やっぱ、懐かしいのは、存在自体を忘れていたゲーム。しかも「如何にも」みたいな色遣いのゲームなんですが、その中でもとびきりなのが「ジャンプバグ」です。とくに紫の使い方が、もう最高にこの時代っぽくて、泣ける。(現注・このゲームを、というかこのゲームの紫と緑をイメージして初代Scribbleのロゴを作りました。もう変えたけど)
この「ジャンプバグ」というゲーム、親戚がやってた喫茶店にもあったはずで、アタシも結構やり込んだ記憶があるんだけど、すっかり存在を忘れていました。

何で憶えてなかったんだろ、と思ってWikipediaを読んだらあっさり氷解した。どうもこのゲーム、権利関係がややこしいらしく、ほとんど移植されなかったらしい。
アルカディアのような日本ではマイナーなコンシューマ機と、ずっと後年になってから(アーケード機発売から15年後!)PC-9801に移植されただけ、という。これじゃ移植されたのを知らなくて当然です。
また遊んでみたい気はするけど、熱量はね、さすがに「死ぬほど面白かった」って感じでもなかったし。

もうひとつはコナミから出ていた「アミダー」。
名前からもわかる通り、あみだくじをモチーフにしたゲームで、変わっているのは奇数面と偶数面で異なるゲーム性を保たせていたことです。これは当時としては非常に珍しく、ゲーム性っつーかルールですね、がまったく違うのです。
ともにあみだくじがモチーフってのは変わらないけど、奇数面はゴリラ(猿?)を操作する、いわゆるドットイートゲーム、偶数面はローラーを操作して面を塗りつぶすクイックスのような内容になっていました。

BGMも奇数面用と偶数面用の2種類あった。これまた珍しい。
いよいよ本題に入ります。
当時のゲームのBGMは戦前の邦画と同様、既存の楽曲をまるまるイタダイたものが多く、おそらくほぼすべて無許可のはずです。
「アミダー」もBGMは丸パクリもいいところで、奇数面は「冒険ガボテン島」の主題歌が使われている。これはわりと早く、たしか大学生の頃には気づいていた。「懐かしのアニメソング」みたいなCDを聴いててね、あ、これ「アミダー」じゃん、と。
作編曲はヤマタケこと山下毅雄。たぶん「アミダー」絡みではビタ一文印税はもらってないんだろうけどさ。

第1位 「冒険ガボテン島」(「冒険ガボテン島」作詞 吉永淳一・作曲 山下毅雄)
やっぱこれしかないでしょう。作曲はオシャレ系サウンドの始祖・山下毅雄。なんでもこれにそっくりのラテン系の曲があるらしいけど、まぁそんなことは気にしない(2005年2月6日更新「1960年代アニメソングのこと」/現注・このエントリはScribbleではオミット)


ま、「ガボテン島」もパクられたかもしれないけど、「ガボテン島」自体元ネタがあったっつー話で。
そして偶数面のBGM、これが今回の表題曲である「幸せのバビラトラリラ」です。こっちはたぶん元ネタはない。はず。
作編曲は宮川泰。アタシが敬愛するクレージーキャッツとも深い繋がりのある、あの宮川泰です。

コンポーザーは「編曲もできる作曲家」と「作曲もやる編曲家」に分かれると思っているのですが、宮川泰は完全に後者であり、アレンジャーとしての姿こそが本当の姿だと思っています。(中略)もしかしたら宮川泰のヨサと凄さを一番味わえるのはこのCDではないか、という気がする(2017年6月27日更新「ゲバゲバ90分・ミュージックファイルのこと」/現注・このエントリもScribbleではオミット)


しかし、いくらなんでもCDまるまる一枚でっていうのは大雑把すぎで、ではたった一曲で宮川泰の良さが詰まった楽曲は、となるのですが。
植木等の「スーダラ伝説」、なべおさみの「青春ヤスダ節」、ささきいさおの「真っ赤なスカーフ」ナドナド選ぶのも難しいのですが、アタシは「幸せのバビラトラリラ」を推す。

♪ どこのことばか しらないがァ
 バビラトラリラァ バビトーラ~

映画音楽風というか1970年代っぽい、フュージョンとジャズの中間みたいなイントロ、たぶん呪文なんだろうけどクレージーソングによくあったスキャット的に処理したサビ、基本明るく元気な曲なのに途中からアラビア音楽風になって妙に暗めのエンディングになるなど、宮川泰特有の「ごった煮だけど整合性が取れている」っつーね、能力の高さが実に良く活かされているのです。

話を元に戻します。
ま、たしかにね、パクったのは、あ、「アミダー」ってゲームの話ね。それは良くないんだけど、パクり元っつーか、選曲のセンスは良すぎる。
どっちもアニメソングに過ぎないはずなのに、こうやって当時のアーケード機の性能で奏でるってのは嫌が上でもメロディだけが抽出されるわけで、メロディ「だけ」になってもまったく本来の良さが失われないこの2曲を選んだって、本当に素晴らしいセンスですよ。







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