NHKのバラエティ
FirstUPDATE2017.8.13
@Scribble #Scribble2017 #テレビ #ネガティブ 単ページ バラエティ番組 NHK マジメ LIFE! 笑う洋楽展 クイズ面白ゼミナール ためしてガッテン Eテレ #みうらじゅん 安齋肇

マツコがNHKの番組に出ることになり、記者会見の場でNHKのバラエティの「あり方」を批難(といってもシャレのレベルで)したらしいですが。

しかし真面目な話、NHKのバラエティにかんしては何かもう、もっとやり方があったんじゃないか、とアタシも思うわけで。
NHKで放送されている内村光良の「LIFE!」で「お堅い内容を異様に好む」ディレクターがバラエティ番組を「何とか堅い内容にしようとする」コントをやってましたが、ま、NHK自身はシャレだと思ってるのかもしれないけど、正直あんまりシャレになってない。
というのも、NHKのバラエティってほぼ2パターンしかないんです。

・真面目を絵に書いたようなバラエティ
・民放のノリを必死で持ち込もうとしたバラエティ

このふたつしかない。
問題はふたつめでね。民放のノリを持ち込もうと頑張ってるのはよくわかるんだけど、何というか、ポイントポイントが堅すぎる。というかあきらかに出演者が「抑えている」のがわかるんですよ。

その点、前にちょろっと書いたけど、BSプレミアムでやってるみうらじゅんと安斎肇の「笑う洋楽展」(現注・現在は不定期放送)はあんまり抑えてない。わりと遠慮なくやってる。もちろん商標にはある程度気を使ってるけど、それ以外は「NHKなのに大丈夫?」みたいなことも、どんどん喋る。
でもこれって民放のノリじゃないんですよ。どっちかっていうとCSのノリ。つかNHK的には民放のノリよりCSのノリの方が合うんじゃないの?と。
ま、あれはみうらじゅんと安斎肇だからだよな。いわばプロのタレントさんじゃないから出来ることっつーか、正確にはあの人たちはあれしかできないというかね。

NHKのバラエティが堅いといっても、昔はNHKだけじゃなくて民放のバラエティも堅かったんです。
しかし時代が進むと、民放は独自のノリを開拓していき、堅さから脱却していった。なのにNHKは旧態依然としたバラエティしか作れなかったんですね。
そうはいってもドキュメンタリー番組なんかは「NHKの文法」みたいなのがどんどん確立されていったし、ドラマも民放ドラマにはないNHKドラマの良さ、は幅広い世代に受け入れられている。
つまりNHKにおいてバラエティだけが完全に取り残されてしまったのです。

しかしそこで民放ノリを取り入れようなんて、節操がないってのはともかく、NHKのカラーとも合うわけがない。やっぱりテレビ局はどこもカラーってのがあって、民放内でいっても日テレの番組は一目見ただけで「ああ、日テレだなぁ」ってわかるし、テレ東なんかわかりやすすぎるくらい、どの番組もテレ東感に溢れている。
そんなことをいえばNHKのバラエティも一発でNHKだとわかるんだけど、でもそれはカラーが云々みたいなことじゃなくて、妙に堅いな、と思えるのがNHKなだけでね。

アタシはね、民放ノリのバラエティなんかNHKでやる意味ないと思うし、そんなんだったらまだ旧態依然の司会者が真面目に喋る類いのバラエティをやる方がマシだと思ってる。
紅白なんかでも変に民放ノリを持ち込むから寒々しいわけで、それなら昔の紅白みたいにカッチリした感じでね、司会者は進行に徹して、間違ってもボケたりしない(軽いジョークはあり)、みたいな方が良いと思う。
去年の紅白なんか、司会のふたりに小芝居までさせてボケさそうとしてたけど、そもそも片一方(有村架純)は司会経験があんまりないわけで、いくらリハーサルをやろうが生放送で上手くやれるわけがない。
あれも民放ノリをNHKが持ち込んだらこういうふうになるよ、という典型的な見本でしょう。

しかし本当ならね、NHKカラーに合致したバラエティを構築するべきだったと思う。
唯一NHKカラーで上手くやってるな、と思うのが「ためしてガッテン」ですよ。基本は真面目に、そして明るく、笑いでいっても「ボケ」ではなく「軽いジョーク」みたいな感じで、NHKのノリが上手く活かされていると思う。ま、アタシはあんまり見てないけど。

昔は「クイズ面白ゼミナール」とか「連想ゲーム」とか「ホントにホント?」とか、ああいうのがあったわけです。バラエティには違いないんだけど、別に無理をした感じじゃなかったから、見ていて痛々しいとか思ったことはなかったし、普通に見てた。
たぶんああいうノリの起源は「ジェスチャー」なんだろうけど、極端にいえば「ジェスチャー」から「ためしてガッテン」まで、何も進歩していない。つまり民放バラエティとはあきらかに違う、そしてNHKのノリに合致したバラエティは「ジェスチャー」以外は構築できなかったということです。

今は民放のバラエティ番組の大半が叩かれる時代ですが、それでもことバラエティに限れば民放は努力してきたと思う。アタシは昔のバラエティが好きな人間だけど、それでも「シャボン玉ホリデー」みたいな「実に丹念に作ってあるけど堅い」ものから、今のバラエティまでよく持ってきたな、というのが正直な感想です。(ま、民放は民放でここんところ完全に進化が止まってるわけだけどさ)

そう考えるとNHKはバラエティにかんしては努力を怠った、といえるのかもしれない。人材的にも「NHKカラーに合致した新しいタイプのバラエティ」を作れる人がいなかったのかもしれない。
でもさ、NHKの場合、教育チャンネルもあるわけじゃないですか。上手くやれば、そーゆーのをやる「実験の場」として、Eテレほどうってつけの場所もないですよ。
バラエティ番組と幼児番組は根っこは一緒ですからね。だからこそ「ゲバゲバ90分!」のスタッフで「カリキュラマシーン」が作れたんだから。

これからでも遅くない。一日でも民放ノリのバラエティとは手を切って、んでEテレを上手く活用して、NHKカラーに合う「バラエティの文法」を見つけて欲しいな、と願うわけで。







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