ラストワンメートル
FirstUPDATE2017.8.2
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かつて「ラストワンマイル」という言葉にスポットが当たった時代があります。

インターネットの回線を部屋に引き込むにあたって、どうしても部屋っつーか壁に有線を通す穴を開けなきゃいけない場合が多い。もちろん持ち家なら何の問題もないけど、賃貸の場合は大家さんとか管理者の許可が必要で実に面倒くさいわけで。
大抵は普通にオッケーは出るものだけど、そーゆーのに疎い大家さんとかに拒否られるケースもあったみたいですね。
今時は賃貸でも最初からブロードバンド回線が引き込まれている物件が大半だし、古めの物件でも前の住人が施工を済ましていたりするわけで。つまりあとは宅内の配線で済む状態ですね。

ま、過去は、つまりブロードバンド黎明期はそうじゃなかったって話ですが、なかなか壁に穴を開けるなんてことが難しい場合向けに、自宅のすぐ近くまでは有線で、そこから無線で電波を飛ばして専用の機械で受信する、なんて仕組みが考えられた。
たしかにこれなら壁に穴を開けなくても済むし、工事も配線の取り回しの必要がないから簡素です。

Wikipediaを読むに、どうも「スピードネット」というブランドだったようで、東京電力、ソフトバンク、マイクロソフトが合弁会社を設立し、そこのサービスとして始まったらしい。東京電力が噛んでいるっつーことは、つまり電柱を使うっつーシステムですね。
ところがトラブルが多発し、なかなか本サービス開始に至れなかった。そうこうしている間にソフトバンクはADSLを使ったヤフーBBを開始、んでそれが成功するに及んで事実上一抜けになった、と。
結果として東京電力の単独事業みたいになり、宅内工事がない以外はほとんどメリットがないこの方式はまったく受け入れられず、あっさり事業を停止してしまいました。

アタシとしても、これいいな、と思っているうちになくなってしまったって感じでした。ま、ADSLに比べても、通信速度が遅い、通信量に上限がある、月額が高いってんじゃ、そりゃ勝負にならんか。
それでもこの「ラストワンマイル」ならぬ「ラストワンメートル」を無線でってアイデア自体は良いと思う。今の機器なら十分光回線に負けない速度やプランを実現できそうだし。
ま、さっきも書いたように、宅内工事がほぼ発生しない今現在ではやっぱりメリットはほとんどないけどさ。

さて、アマゾンがクロネコヤマトとの提携を弱めて配達が遅れている、なんて話があります。
アマゾンの宅配スピード、あれはすごい。正確にはすごかった、か。何しろ翌日に届くんだからね。ずっと、あれはもっぱらアマゾンの力というよりクロネコヤマトが優秀なだけだ、と言われていましたけどね。
もちろんアマゾンとしても手をこまねいているわけではなく別の方法を模索中みたいですが、ま、こればっかりは一朝一夕で何とかなるもんじゃないわな。
たとえばアマゾン自ら配達業務までやるとしても、クロネコヤマトのようなシステマチックなやり方はノウハウがないとどうしようもないし、そもそも配達のための人員を集めることすらままならないでしょうし。

そこで、ではないんだろうけど、将来的にアマゾンはドローンを使った配達を計画しているという。
さすがに今の時点ではギャグにしか思えませんが、実際諸外国の一部のエリアでは実験的とはいえサービスを始めている、なんていいます。
もしドローンですべての配達が可能になるのであれば、これは革命です。革命だけど、さすがにまだまだすぎる。
といってもね、重いものは難しいよね、ということじゃないんです。そういうのこそいずれ技術が解決すると思うし。
そうじゃなくて、いったいドローンをどこに着陸をせるの?と。

これが広大な庭のあるアメリカの一部なら何の問題もないですよ。何らかの通知があって、庭に出たら空からドローンが荷物諸共飛んでくる、みたいな。
でも日本のような共同住宅が多い国はどうすんのさ?
マンションやアパートのどこにドローンが着陸できる場所がある?屋上?屋上がない共同住宅も多いし、屋上がある物件でも防犯上閉め切っている場合が大半じゃないかな。かといってベランダじゃあ、大抵の場合狭すぎるでしょ。
玄関前までとしてもオートロックはどうなるのとか、コの字とかロの字のマンションっつーか団地みたいなのもかなりあるでしょ。ああいうのも難しそうだ。

ドローンでね、家のすぐそばまでってのは、本当にいずれは可能になると思うんですよ。でも、それこそラストワンマイルが日本においては極めて難しいと思う。まさかすべてのマンションやアパートにドローンの着陸場所を作れってのは無理だし、それこそ壁に穴を開けるレベルじゃないくらい紛糾するよ。
一番手っ取り早いのは、すべてをコンビニ受け取りにしてしまうってやり方。これなら全コンビニにドローンの発着陸場所を設置するのは可能だろうし。
しかしねぇ。今まで家にまで持ってきてくれたのがコンビニまで取りにいかなきゃいけなくなるってのは、かなり利便性が落ちてしまうよな。近くにコンビニがある家ならいいけど、いや仮に近くても手で持つとズシッとくる商品の場合は、やっぱり家まで届けて欲しいっしょ。

正直何の提案もオチもないエントリだけど、ほんの少し前、つまりクロネコヤマトとアマゾンが強固なタッグを組んでる時はサービスとしてパーフェクトに近かったからね。今後如何なる改革を進めようとも、あの頃よりは確実に劣化すると思うんだよな。
しかもマズいのが、日本の場合、仮にドローンの性能が大幅に上がっても住宅事情的に難しい問題が多すぎるってのがね。

配達のラストワンマイル、いやラストワンメートルですね。もしかしたらインターネット回線みたいに「工事済みなのが当たり前」になる可能性はゼロではないけど、あまりにも気の長い話じゃないんでしょうか。







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