この間、近所のハードオフを冷やかしにいった時に、ジャンク扱いでカシオ製MSXが置いてあってね。
MSX自体の説明はメンドいので省略しますが、ま、大昔のパソコンっつーかマイコンです。
しかし秋葉原ならともかく、こんな身近な場所にこんな希少な機種が置いてあるとはね。当然買いやしないけどさ。
と、書いたけど、実際の話、カシオのMSXがいったい如何程希少かなんかわかってないんですよ。
なるほど30年以上の機械で、性能的な価値は皆無なんだから、製造された大半の個体はスクラップにされたことでしょう。
しかしそれも想像といえば想像でしかないんですよ。当時の出荷台数も把握してないし、この世にどの程度、仮に完動品でなくても現物が存在するのか、なんて把握しようにもできるわけがありません。もしかしたらどっかの倉庫にゴッソリ在庫の山が積まれている可能性だって、ゼロかといえばゼロではないですし。
ではどうやって希少かどうかをはかっているかというと、現在の市場価格で判断するしかないわけです。ヤフオクでの落札相場とか、古いマイコンとかなら秋葉原にあるBeepの販売価格とか。
でもね、市場価格が高い=希少、とは限らないんです。
こういうのは需要と供給ってモンかあって、需要に供給が追いついてなければ値段が上がります。つまりそれなりに潤沢に個体があっても欲しがる人が多ければ多いほど値段は上がる。
逆にいえば、どれだけ希少だったとしても欲しがる人がいなければ二束三文です。
これだけでも希少なモノ=高い、となるわけではないのは明らかです。
それにね、勝手なイメージってもんが誰にでもあってね。
アタシは戦前モダニズム関係のものを蒐集、とまではいかないけど、コレという掘り出し物が出ればなるべく買うようにはしています。
もしかしたら、戦前のもの、というだけで勝手に「ものすごく希少」と決めつける人もいるかも知れませんが、まァ、モノによります。もちろん中にはメチャクチャ希少で、コレクターがこぞって欲しがるようなモノもあるけど、そもそも戦前モダニズムに興味がある人自体が少ないので、仮に希少だったとしてもたいして値段は上がらない。
戦前の日劇のチラシとかとんでもない値段がついてそうだけど、ヤフオクなんかで見ればわかるけど、そこまででもない。というかマンを超えると落札されないレベルです。
でも戦前モノだから希少と信じてか、それとも半分騙すつもりか、ビックリするような高値でスタートになってるオークションもある。
「超希少!」とか「何と戦前のものです!」とか「未DVD化作品!」とか「もう二度と手に入らない!」みたいな惹句をつけてる場合も多いけど、惹句に踊らされるような人はいない。だっていつまでも出品されているから。
というかこういう特殊性のあるモノのコレクターは見る目というか免疫が出来ているので、こんな惹句には騙されませんし、騙されるようなタイプの人はこんな商品は欲しがらないもん。
それでもマニアが本気で欲しがる希少なモノもちゃんとあります。
えと二年ほど前かな、ヤフオクでとある商品をスゲェ競ったことがあって。たいして有名でない映画のビデオなんだけど、アタシも事情があってどうしても欲しかった。
この手のものに相場はありませんが、似たようなビデオはどんなに高くても2マンもいかない価格で落札されている。同時にもう一本、似たような価値のビデオを落札したけど、そっちは予測よりはるかに安い3000円ほどで落札できました。
ところがこっちはいつまで経っても終わらない。ライバルが無限に値段を吊り上げてくるんです。
それでもアタシもだいぶ頑張った。気がつけば目安の2マンを超えてたけど、もういいや、ここまで来たら行くだけ行ってやれ、と。
そうこうしているうちに、ついにライバルが消えた。やれやれ、と思ってると、今度は別のライバルが現れたんです。そして新しいライバルはまさにカネに糸目をつけない、という感じでね。
最初のライバルとは500円単位の競り合いだったんだけど、新しい方は5000円とか一気にポン!と上げてくる。
んで、とうとう4マンを超えた。さすがにアタシも限界がある。どれだけ欲しい理由があろうが、あまりにも理不尽な値段を出すわけにはいかない。
そこで最後の勝負に出た。たしか41000円くらいだったのを一気に5マンにまで上げたのです。これ以上は出せない、もしこれ以上で入札してきたら諦める、と。
そしたら驚いたね。10秒も経たないうちに55000円に上げやがったんだから。
ここでアタシはギブアップ、当然落札者は新しい方のライバルです。
しかしさぁ、負け惜しみをいうわけじゃないし、アタシもそれなりに商品価値はわかってるつもりだけど、あれ、55000円も出すようなモンじゃないよ。さすがに高すぎる。もう一個のおそらく同程度の価値のビデオは3000円だったんだから。
というかこんなもんなんですよ。片っぽは55000円、片っぽは3000円。こう書くと如何にも55000円の方が希少価値がありそうだけど、実際にはオークション終了時間のタイミングとかいろんな要素が重なっただけの話なんです。はっきりいえば希少価値とは関係のない要素しかない。
別に希少だからといって持ってて自慢できるようなモンでもないし、というか希少かどうかとか蒐集欲とはほとんど関係ないんだよねぇ。