2010年、アタシは「植木等ショー!クレージーTV大全」という書籍に関わらせていただきました。
実はこの本が発売される3年ほど前、とある機会を得て、1967~1968年に放送された「植木等ショー」というテレビ番組を見ることが出来たのですが、いろんな意味でショックを受けた。
ちょうどこの頃はyabuniramiJAPAN(現注・現Yabunira)は開店休業状態だったのですが、この番組を見たことで「最後に「笑い」について総決算的なことを書いてyabuniramiJAPANの幕を引こう」と決意したのです。ま、今こうやってyabuniramiJAPAN名義で書いてるってことは、当然復活したからなんだけどさ。
余談はさておき、実際この時のエントリでアタシはこう書いています。
さいきんになって「植木等ショー」8回分を見たのですが、正直感動してしまいました。(中略)コントやその他、たしかに古びた部分はありますが、それでも今の目でみても、燦然と輝いている。それは植木等という、カリスマ的存在を抜きにしても「今の番組にはない、何か」があるからなのです(2007年7月3日更新「笑いの世界・第三回「植木等ショー」にみる、本当のバラエティショー」/現注・当該エントリはオミット)
「植木等ショー」は「シャボン玉ホリデー」同様、歌とコントがサンドイッチになった本来の意味でのバラエティ番組なので、番組中で数々の楽曲が歌われています。植木等の持ち歌はもちろん、番組オリジナル曲、そしてカバーなど、植木等とゲストによって実に幅広く歌われている。
その中でもとくにアタシのお気に入りなのが、今回の主題である「大ショックのテーマ」です。ま、タイトルはアタシが勝手につけただけですが。
オリジナルではなくカバーなのですが、元歌は「マイフェアレディ」の中で歌われた「運がよけりゃ!」。工事現場みたいなところのシーンで歌われるアレです。
しかしカバーなのはメロディだけで歌詞は完全オリジナル。この回のサブタイトルが「植木等の大ショック」なので、「ショック」というワードが主題の歌詞になっているわけで。
歌っているのは植木等と、この回のゲストである九重佑三子と水垣洋子です。
♪ (九重)世の中にはショックなことが
いつだって起こってる
あれまた今日も死にそなショックが!
(植木)でも大丈夫さ 君ィは大丈夫さ
心臓に毛が生えてるもん
(コーラス)大ショック!大ショック!
こりゃまたぶったまげたなァ~
アレンジは元歌ともスウィング調とも違う、何というか、如何にもこの時代(1968年)っぽいアレンジなのですが、これが実に良いんです。
♪ (九重)毎日の新聞見れば 恐ろしいことばかり
これでショックを受けなきゃウ!ソ!だ!
(植木)そんなこォたない 君の顔見りゃ
ショック受けた顔ォじゃない~
(コーラス)大ショック!大ショック!
こりゃまたぶったまげたなァ~
♪ (水垣)植木さんに奥様が
あったなんて大ショック
(九重)どこまでがホントなのか
どこからがウソなのか
ハチャメチャにわからぬ世の中
(植木)でもそんなことにショック受けてたら
この世は渡れない~
(コーラス)大ショック!大ショック!
こりゃまたぶったまげたなァ~
「植木等ショー!クレージーTV大全」と前後して「植木等スーダラBOX」というDVDボックスが発売され、「植木等ショー」の映像が多数収録されましたが、このDVDボックスの中に「大ショックのテーマ」は入っていません。理由はもちろん「元歌が外国曲だから」ですが、つまり「大ショックのテーマ」は世に出ていない未発表曲ということになりますか。(ま、当然リアルタイムでは放送されてるんだけど)
だから気軽に聴いてもらう機会がないのが実にもったいない。植木等が良いのは当然なのですが九重佑三子が実に良いんですよ。また水垣洋子が例のハイトーンヴォイスでワンフレーズだけ「メタ歌詞」を歌うのは、何となく初期のスチャダラパーのアニっぽい。
♪ (コーラス・全員)ショックのない国へ
逃げて行きたい今すぐに~
(九重)いつだってショックなことは
どこにだってあるけれど
(植木)その度に驚いちゃいられない
笑いとばそ 払いのけよ 元気で暮らそうよ~
(コーラス)大ショック!大ショック!
こりゃまたぶったまげたなァ~
大ショック?そんなの
ショックなんてヘッチャラさ~
これ鼻唄として超優秀で、初めて聴いてからもう10年ほどになるのに、いまだにたまに鼻唄で出てくる。「ショック」という日常で引っかかりやすいキーワードが入ってるし、何といってもメロディが名曲「運がよけりゃ!」なので口ずさみやすさ抜群なのです。
先に書いた歌詞と「運がよけりゃ!」のメロディでバッチリ歌えるので、みなさんもよかったら、是非。
ふぅ、今回は歌詞をフルで書けて、気持ち良かったァ~!
現存が確認出来る「植木等ショー」すべてが「植木等スーダラBOX」に収録されたわけではなく、いろいろな問題で収録が見送られて回がかなりあります。 そしてそのほとんどは「VTR中に外国曲(のカバー)が歌われている」といった理由で、いや外国曲が含まれているとまったくソフト化が無理なわけじゃないんだけど、版権料がメチャクチャ高いのです。つまり実質的には無理だと。 しかしCD、つまり「音源のみ」の場合はその限りではなく、CDでさえあればメディア化は不可能ではないわけでして、ならば、と思い昔、佐藤利明氏に「植木等ショーのCDが出せないか」みたいなことを聞いたことがある。あるんだけど、ま、常識的に考えたら採算面で厳しいわな。 もし「植木等ショーCDBOX」みたいなのが出たら、この「大ショックのテーマ」も聴いてもらえるのに。 |
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