WBC2017を振り返る
FirstUPDATE2017.3.29
@Scribble #Scribble2017 #プロ野球2017年 単ページ WBC 動く球 してやられた感

WBCね、見てたか見てなかったかでいえば、もうバッチリ見てたわけです。それもそれなりに興奮しながらね。

え?阪神の選手が碌々出てない?んなことは一切関係ない。つかやっぱWBCのような世界大会は育って欲しいと思ってるし。
エントリタイトルは「振り返る」としましたが、実際は振り返りません。まずは初戦のキューバ戦は、とかやってたらキリないし。
それよりも、準決勝の打線について語りたい。といっても苦言ではありません。
はっきりいって日本の打者がWBC球でのツーシームに慣れてないというのを差し引いても、まったく通用しませんでした。しかしこの「通用しない」というのがアタシの思ってたのとは違う。感覚的には「力負け」ではなく「してやられた」って感じなんですよ。

もちろん実際は力負けなんです。でも、それこそ古くは全盛期の江川が絶好調で出てきた時や、昨今でいえば田中将大やダルビッシュ、あとジョンソンもその域か。とにかくこの辺の投手に完膚なきまでに抑え込まれた時とは違うような気がするんです。
アメリカ戦の日本の打者を見てると、まったく歯が立たないって感じじゃないのに、凡打を繰り返している。野球を知らない人が見たら単なる貧打戦に見えるかもしれないなと。
これはツーシームという変化球が「そういう球」だからです。大仰にいえば「一流の打者を一流の球でねじ伏せる」のではなく「一流の打者を二流の打者にしてしまう」みたいな変化球、とでもいえばいいんでしょうか。

アタシのイメージではメジャーリーグとか、超弩級の打者を超弩級の投手がねじ伏せる世界だと勝手に思っていた。ところが実際は違う。違うというか、それではもう投手は太刀打ちできないレベルになっているっつーか。
だから「動く球」が流行る。当然メジャーの公式球が縫い目が高く、表面が粗いのでツーシームとかカットを投げるのに向いてるってのもあるんだけど、力対力だとあまりにも打高投低になってしまうんじゃないか。だから動く球の流行は必然だったのかもしれません。

メジャーはもう完全にツーシーム全盛時代で、ツーシームだけじゃなしにカットやシンカー(日本ではハードシンカーと呼ばれる球速のあるシンカー)など、とにかく打者の手元で変化する球を投げる投手ばかりです。「手元で変化する球=動く球」なわけで、何故こぞって動く球を練習するかといえば、動く球を習得しなければメジャーで通用しないからです。
日本にやってきた外国人が通用しないのは、日本の公式球がメジャー公式球よりも変化しないからで、「3Aで高いスタッツなのに日本に来てみたら使い物にならない」のはたいてい動く球で成績を残してきた投手です。

まァ、何というか、日本の打者は手元にきてギュイーンと動く球を打つ練習がまったくできないのですよ。仮にメジャーの一流投手に打撃投手になってもらっても、日本の公式球で投げたら練習にならないし、そもそもWBC直前にそんな敵に塩を送るなんてするわけないし。
優勝、優勝、準決勝敗退、準決勝敗退、という結果は、日本チームの戦力が、とか、招集が、とか、監督の采配が、みたいなことよりも、日本の打者が事前に練習して対応できることが少なくなってきた、つまりはメジャーがそれだけ動く球全盛になった証拠じゃないかと。

ここが野球というスポーツの世界大会の難しさだと思うんです。
野球ってスポーツは想像以上にボールの質や球場に左右されるスポーツです。国内リーグで勝つ確率を上げようと思えば、動かない球を無理矢理動かそうとしたり、飛ばない球を無理矢理飛ばそうとしていては勝てない。広いスタジアムがホームスタジアムの場合はそれに適したスモールベースボールをやろうとするし、狭い球場ならホームランで試合を決める野球をやろうとする。それが勝つ確率を上げる方法だからです。
ところが世界大会となったら、すべてそれをチャラにして戦わなきゃいけない。これは辛い。

サッカーならまずボールは統一されているし、グラウンドの違いは戦術とは結びつきづらい、と思う。あんまりサッカーは知らないけどさ。だから世界大会が成立する。
野球でもね、日本シリーズやワールドシリーズのように、せめて本戦はホームとアウェイを交互に試合をして、日本がホームの時は日本の公式球を使うってのなら、本当の意味でチームとしての力が図れると思う。でもそれはいくらなんでも無理です。
でも球場はともかく、せめてWBC公式球とか止めてね、後攻の国の公式球を使うようにしたらいいんだけど、それも難しいやね。第一選手が対応できないでしょうし。出てくる国によってボールが変わるとなったら、その都度そのボールで練習しなきゃいけなくなるし。

まあ結局は負けた言い訳で、日本は日本で投手がメジャーの打者があんまり慣れてないフォーシームとフォークで「ねじ伏せる」しかないんですよ。
諸外国の野球が動く球で「のらりくらり」、日本の野球が「ねじ伏せる」って何か逆みたいだけど、今回のWBCでわかった通りなんだから、それを前提にして戦っていくしかないんでしょうなぁ。







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