どうするどうなるタイガース2017
FirstUPDATE2017.3.13
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どうも古いな。でも「どうするどうなる」の後に「タイガース」ってのがぴったりハマってしまうのは何ともはや。

昨年(現注・2016年)の阪神は「超変革」と銘打って大胆なチーム改革に挑みました。
順位的には4位なので成功とはいえないのですが、興行的には大成功といっていいんじゃないでしょうか。
もちろん金本知憲というカリスマを持った人が監督になったことも興行面でプラスになったってのもあると思う。加えて掛布雅之の存在も。
でもそれよりも、次から次へと若手が出てきて、若手が出るたびにグッズを作る。するとグッズが馬鹿売れする、という良いスパイラルが生まれた方がはるかに大きい。
グッズは売れるけど若手だから年俸は安い。という完全に儲けがでる「やり方」ができるようになったんだから。

しかし一番のポイントは「まさか阪神ファンがこれほどまで若手野手を渇望していたのか」ということにフロントが気づいたことじゃないかと。
もう一度いいます。昨年の成績は芳しくない。でもファンの満足度は、少なくともここ数年では一番高い。CSに勝って日本シリーズに出場した時よりも高い。
あれ?これはもしかして、ファンが望んでいるのは優勝よりも若手野手の活躍なのか、と。
いや、もちろんね、一番は若手野手が活躍した上で優勝することです。でも両方が無理ならファンは若手野手の活躍を取るんじゃないかと。
順番をつけるなら、若手野手が活躍して優勝>優勝できなかったけど若手野手が活躍>若手がいない状態で優勝>若手もおらず優勝もできない、くらいだと。

これ、結構凄いことですよ。今まではファンの満足度的に下から3番目か4番目しかなかった。最高で(つまり優勝して初めて)3番目。ところが今は最低でも2番目にはなる。頑張れば最高の満足度をファンに与えられることになるんだから。
星野仙一が監督に就任して以降、極端な補強も辞さず、といった姿勢で、優勝すること、最低でも優勝争いすることこそファンを満足させることができる、というフロントの姿勢が鮮明になりました。
たしかにね、あの時期ならこのやり方は正しい。何しろチームは暗黒時代といわれる、あまりにも情けない期間が長すぎたんだから、まずはともあれ一回優勝しなければ始まらない、とするのは当然です。

しかも偶然にも、あの時期は良い若手がいた。補強された選手と半々くらいとはいえ、生え抜きも十分に目立った活躍ができたのです。
それ以降、監督は変われど補強一辺倒でチーム力を維持する、という方針は不変だった。若手の台頭は鳥谷以降すべて投手に割り振られ、ドラフトで野手を一位指名することもほとんどなくなっていった。
やがて2003年、2005年の優勝メンバーの野手の大半が引退もしくは退団していき、気が付けば残った生え抜き野手のレギュラーは鳥谷ひとりになっていた。

この「投手は自前、野手は外様」という姿勢でここ10年は戦ってきたといってもいい。
ところが観客動員はみるみるジリ貧になっていった。
投手にかんしては藤浪を引き当てるなど、スター候補が入団して期待通り活躍したのに、どうも観客動員にはつながらない。
そして昨年。投手では岩貞がブレイクしましたが、主軸が期待された投手はメッセンジャー以外軒並み調子が上がらなかった。
なのにファンは髙山、北條、原口らが台頭した昨年を評価した。
ま、ざっとした流れはこんな感じです。

結局ファンを呼び込めるのは投手ではなく若手の生え抜き野手なんです。それは歴史でも証明されていて、球団史上初めて、優勝できなかったのに100万人動員できたのは、田淵が入団して期待通り活躍した1969年ですからね。
投手は成績を残すために必要なのですが、興行的には思ったより弱い。
となったら今後もドラフトで有望な野手をガンガン獲り、興行的にさほど影響のない投手は、年齢や生え抜きか否かにこだわらず能力優先にして、FAやメジャー帰り、外国人をフル活用する、という方針に、といきたいところですが、これはこれでかなり困難な道です。
まず「野手を育てるのはあまりにも難しい」ということです。
この人をコーチに迎えたら必ず若手野手が伸びる、そんな人材は球界を見渡しても、いない。

昨年から巨人のコーチに就任した内田順三は「名うて」の打撃コーチとして知られた存在でしたが、もちろん年齢のこともあるにせよ、若手がガンガン伸びたかというと、そんなことはない。いまや阪神よりも巨人の方が有望な若手野手がいない状況です。
それでも優れた打撃コーチは存在すると思うけど(もちろん今でも内田コーチは優秀な人だと思ってる)、優秀なコーチは一度囲い込んだ球団が手放さないし(ヤクルトの杉村コーチが最たる例)、そもそも優れた素材がいなければ料理のしようがない。
さらにいえば、球場の問題もあるし(どうしても阪神や中日は大砲を育成しづらい)、やっぱり監督の<好み>があるから、監督が気に入って使いたくなるタイプ重視の育成方針になる。それが選手のタイプと合致していればいいけど、合わない場合は素材を潰すことになってしまう。

今はね、金本と掛布がいるからいいけど、これからは同時に打撃コーチも育成しなければいけないと思う。さらにはスカウトも。
そういう意味で大山を指名したのは試金石になるような気がします。大山をどう育てるか、そして育つことができるのか、そこは注力しなきゃなと。
最後に余談になりますが、大山の指名にかんしてアタシはそう間違っていないような気がするんです。
というのも、右の長距離砲タイプってみんな揃いも揃って共通の欠点があって「速球に弱い」というのと「外角のボールになるスライダーに簡単に引っかかる」っての。

これ、江越も陽川も一緒なんですよ。つか他球団を見ても育たない右の長距離砲はみんな同じ欠点を抱えて克服できなかった選手です。
たぶん金本の中で決め手になったのは「そこ」じゃないかと。大山はこのタイプには珍しく「速球に強い」かつ「外のスライダーを選べる」特徴があると言われています。いくら教えてもなかなか治らない短所をはじめから持っていない。もちろん他の能力はまだまだ足りないのでしょうが、そこは教えて治ることだと踏んだんじゃないかと。

そう考えると、わりと大山指名は合点がいくのですがね。

結果的には大山指名は大金星というか、以降の阪神の礎になった感すらあります。
というかさ、阪神って投手は下位指名の選手でもモノに出来るんだから、上位指名は毎年野手全振りでいいと思うんだよね。




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