マイコン大百科?そんなものは求めていニャい!
FirstUPDATE2016.4.9
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かつてアタシはマイコン少年でした。みたいなことはうんざりするほどここで書いてきましたが、いわば青春の象徴といえる1980年代のマイコン業界界隈ですが、当時のことをしたためた書籍は何冊か発売されています。

これが、どれもこれも見事につまらない。いったいこんなもん誰が買うんだ?と毎度思うわけで。
マイコン関係に限らず、この手の大百科的な本がつまらなくなる最大の要因は、変に網羅的にしようとしてしまうところです。
「すべて」を書こうとして、ひとつひとつの内容が極めて薄くなる。結果、時代の空気もわからない、しかもデータとしても不完全なものになってしまう。
だから読んでてもぜんぜん懐かしくない。記憶が喚び起されるってのがないから。

詰め込んでいろんなことに触れなきゃいけないから、どうしても文章が短くなる。百歩譲ってそれはしょうがないにしても、何度も書いてるように短文で「読ませる」文章を書くのはかなりのテクニックがいるのです。
ところがそんなテクニックもなしに書いてるから、ただ浅い事実を並べただけか、酷い私見を書き連ねた文章になってしまうわけでね。
「感想」は別に本で書かなくてもいいよ。ウェブにいくらでも転がってるんだからさ。

こんなつまらないものを読むより、当時の「マイコン華やかなりし頃」の思い出に浸りたければ、当時の雑誌、とくにI/Oなんかをヤフオクか何かで探して読んだ方がよほどいい。
何故当時のI/Oが面白いのか、そこにすべての答えが隠されていると思うのです。
I/Oの面白さは、リアルタイムでもそうでしたし二十一世紀の今も同じですが、あの膨大な広告にあります。
大手メーカーの広告から始まって、ページが進む毎に周辺機器メーカーやソフトウェアメーカーの広告が入る。そして巻末のモノクロページにはとっくに消滅してしまった泡沫ソフトウェアメーカーやマイコンショップの広告が並ぶ。
この広告群を見ているだけで、当時のマイコンのスペックから価格、そしてどんな機種やショップが幅を利かせていたかまですべてわかります。

I/Oは月刊誌だから、わかるのはその月、つまり198X年X月の頃の雰囲気だけです。もし1980年代すべての空気を味わいたければ、バックナンバーを全部揃えなきゃいけなくなるわけで。それはさすがに難しい。
だからこそ、本だと思うのです。
先ほど、今発売されているマイコン関係の本を思いっきりクサしましたが、アタシだけではなく当時のマイコン少年が望んでいるのは「1980年代のマイコン広告の総まくり」みたいなものじゃないかと。
広告を本にするのが難しいのは知っています。でもそれをやらない限り、I/Oのバックナンバーに負けてしまう。つまり当時のマイコン少年が失望するようなものしか出来ないと思うんですよね。

ま、仮に広告だけの本は無理だとしてもですね。
何というか、もっともっと、懐かしさを喚起できる文章ってのがあるんじゃないかなぁ。
以前「ラップスキャン」という、ラップに絵を描いて、それをモニターに貼り付けて座標を取っていくっつー、今思えばギャグにしか思えないもののことを書きましたが、当時のマイコン少年がすっかり忘れている、けど聞けば「あったあった!」と思えるようなフレーズを散りばめなきゃいけないはずなんです。

もちろん当時のマイコン少年のレベルにもよるんだろうけど、覚えているけど理屈までは知らない、みたいなことを解説するのもいい。
スプライトは何故横方向に置ける数に制限があったのか、とか、ビープ音でどうやってメロディを奏でていたのか、とかね。
メチャクチャなことをいえば、今更「PC-8001の外付けPCGのフルカラー化(←といってもドット単位に8色使えるだけだけど)」なんて記事があってもいい。
そんな記事を載せても誰も試さないですよ。つか試しようもない。でもそーゆーのを見るだけで十分「懐かしさ」は喚起されるはずなんです。

あとやっぱりやるなら、最低でも当時の開発者たちにインタビューくらいはしなきゃ。それくらいはしないと、確実にマイコン少年たちは立ち読みで済ませますよ。







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