NPBは何をすればよい組織なのか
FirstUPDATE2016.3.17
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うーん、何かもう、無茶苦茶な話になってきて、場の納め所すらわからなくなった感のある昨今のプロ野球事情ですが、我が阪神も「王様(巨人)に仕える道化」力を見事に発揮して、案の定追随してしまいました。

いや追随したのはウチだけじゃないけどね。今日も広島が発表したし。
で、今回書くのは阪神のことではなく、NPBという組織についてです。
アタシは何も矛先をNPBに逸そうとしてるんじゃない。少なくとも2016年のモラルと照らし合わせて考えたら、とてもじゃないけど阪神のやってきたことは褒められることではありません。
だからキチンとした処罰は必要です。なあなあ、で終わってはいけない。仮にNPBからの処分がなくても球団として自主的に、何らかの処罰が必要だと思う。
ただもっと根本的な話、と書くと「そもそも円陣で金銭のやり取りがそこまでダメなことなのか」みたいな風に思われるかもしれませんが、違います。さらに根本的な話です。
それは「処分を厳しくさえすれば、再発の恐れがなくなるのか」ってことなんです。

あえてめちゃくちゃな例を挙げます。
万引きは犯罪です。いや刑法云々じゃなくて社会通念でもアウトです。万引きをしようとして咎める人はいても、褒め称える人は、まァいない。
ではもし「万引き→即死刑」なら、世の中から万引きが消えるかというと、まず消えない。
ものすごくそもそもの話ですが、普通の人は刑の軽い重いで犯罪を躊躇とかしないんですよ。単純に「やっちゃいけないことだから」やらないだけです。それを飛び越えちゃうと殺人までいくのかもしれないけど、だったら極刑になることが多い殺人なんか誰もしないよね、なんてこともないわけで。
残念なことに、殺人事件が一件も起こらなかった年なんて存在しないわけです。

では「万引き→即死刑」なんてことになったら、ま、絶対に万引きしたなんて認めなくなります。それどころか、たかだか万引きで逃げ回ることになってしまう人も出てくる。
もちろん普通は逃げ切れるわけがない。となるとどうなるか。反社会組織の力を借りることになる。そして反社会組織が凄い勢いで暗躍することになる。
つまり、万引きが重犯罪でないのは、何でもかんでも罪を重くすれば、反社会組織の勢力が増していくだけなんです。つまり治安の悪化を意味する。
そんな社会、嫌だよねってことなんですけどね。

ま、かなり詭弁ですが、犯罪者には徹底的に厳しい処罰を与えないと再発の可能性が増えるってのはちょっと違うと思う。
だからといって、なあなあ、というか、甘くしろって話でもない。
厳しい処分も処罰も必要。しかし処分や処罰には救済とかフォローがセットなんです。そこを間違えちゃいけない。
刑務所が何故必要かというと、あそこは犯罪者を更生させるための施設だからです。実際にそうなってるかはともかくとして、存在理由はそこにしかない。だからこそ更生のための支援プログラムが組み込まれている。
少なくとも国だって、お前、犯罪を犯したな。それじゃあ島流しね、で済ませていない。ちゃんと刑務所というフォローも用意しているのです。

今回の事件は、えと円陣じゃなくて野球賭博の方ですが、そこに致命的な問題がありました。
昨秋、三投手を失格処分にしましたが、彼らにたいしてフォローがまったくなかった。それは「かわいそうだから助けてやれ」って話じゃないんです。もちろん彼らの肩を持っているわけでもない。
キチンとしたフォローがないと、話が無茶苦茶になってしまうからです。
1970年に吹き荒れた黒い霧事件の時もそうだし、今回の某投手もそうなんだけど、切り捨てるだけ切り捨てておいて、はい悪いヤツは処分しました、と投げっぱなしにしたことで話が大きくなってしまった。

んなもん一民間企業に求めるなよ、賠償請求しないだけでもありがたいと思え、と思われるかもしれませんが、だったらそこに何でNPBが出て行かないのかと。だって契約するか解雇するかは所属チームかもしれないし、解雇後の責任は持てないかもしれないけど、失格選手という処分を与えたのはNPBでしょうが。だったら処分の分だけフォローもしなきゃいけなかった。
警察が国を守るためのもんだとすれば、NPBはプロ野球という存在を守るためのもんでしょ。ところが処分を下すだけ下しただけ。これだったらNPBなんて組織はいらない。んなもん勝手に所属チームが解雇すればいいだけなんだから。

もう一度いいます。違反を犯した人間に甘い処分をしろって言ってるんじゃない。厳格な処分は必要です。
厳しい処分を下す、それもNPBの仕事かもしれない。ただ処分とフォローはセットってのを忘れてもらっちゃ困る。
何故ならそれがプロ野球を守るってことだから。
綺麗事ばっかりいってもしょうがないのです。万引き→即死刑みたいな発想では組織は守れないのです。

微妙に話が変わりますが、ロッテのフロントが「司法取引みたいなやり方もあるんじゃないか」と提言したみたいですが、これは大賛成です。
「早めに自ら名乗り出たとか関係ない。やったことは同じなんだから同じだけの量刑にしろ」という理屈もわかりますが、それでは全体が守れない。つか隠し通したモン勝ちになってしまう。
ましてやNPBには捜査権はない。今回のことでもわかった通り、簡単には警察は動いてくれない。
そんな中、プロ野球をどうやって守るのかを考えたら、というかどうやったらクリーンな状態にまで持っていけるかといえば、司法取引的なやり方は全然アリだと思う。

厳しくすれば再発はなくなる、みたいな幼稚な発想ではなく、最終的に「どうやったらより良いプロ野球になるのか」を考えなきゃいけないんですがね。







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