ブロック問題は尾をひくぞ
FirstUPDATE2016.3.8
@Scribble #Scribble2016 #プロ野球2016年 単ページ 捕手 タックル ブロック

さて、今年のプロ野球界を大きく揺るがしかねないのがコリジョンルール、つまり「ホームベース上でのクロスプレーに関するルール変更」でしょう。

いや、実際はルールの変更はありません。もともとブロックもタックルも禁止だったのが、今年から厳罰化、じゃねぇな、厳格化か、されるってだけの話です。
それでもこの厳格化はあまりにも影響が大きい。
たしかにホームベース上でのクロスプレーは危険だとはずっと思っていたし、アタシはタックル禁止はブロック禁止とセットと言い続けてきました。
それでも今まで、どういう事情か、かなり緩い「縛り」でしかなかった。つまり、余程悪質なものでない限り、ブロックは「正当なプレー」として認められてきたわけです。

認められるというのは、言い換えれば、やっていいことになる。転じて「やらなきゃダメなこと」にさえ、なった。
アマチュアの指導者からして当然のように捕手にはブロックを求めた。もっといえば「ブロックをやらない、できない捕手は使えない」とすら判断されていたと思います。
今いるプロ野球選手は当然こういった指導下で育ってきたわけで、ブロックをして相手のホームインを防ぐ野球をしていた。そう、去年までは。

これが今年から、変わる。
そりゃね、頭では全員わかってるはずですよ。ブロックはダメだって。でも頭でわかってるのと、実際に出来るかどうかはまったく別物です。
野球というのは、いや野球に限らずどのスポーツにもいえることかもしれないけど、条件反射がモノをいいます。
様々な動きを条件反射でこなすことができる、それが選手として大成する道です。
頭でわかってることが、すぐに身体で表現できるなら、全員理想的なフォームになりますよ。でもそんなことは不可能です。身体能力の問題じゃなくてね、頭にある理想通りの動きをするってのは、かくも難しいことなのです。

これはフォームだけじゃなしにプレーでも同じです。
たとえばベースを左回り(三塁→二塁→一塁→ホームの順に回る)にするだけでも、ほとんどの選手は混乱しまくるはずです。ランナーはつい反対に走っちゃうはずだし、守備もついうっかり一塁に送球してしまうと思う。
それでも徐々には慣れるでしょうが、本当に咄嗟の判断が求められる、しかも試合の終盤の大事な場面なんかだと余計にミスが出ると思うし。

ブロックだってそうですよ。緊張感の強いギリギリの場面こそ「何十年やってきて、身体に染み込んだ動き」をやってしまうと思う。
これがずっとレギュラーで出ている選手なら慣れるのも早いかもしれません。でも控えの場合、それもポジションが捕手ですからね。シーズン半ばにレギュラー捕手が故障して突然出番が回ってくる、それが今シーズン初マスク、なんてことは普通のケースです。
しかもそれがプロとして経験が少ない捕手なら、この「つい」が頻繁すると思うわけで。
ま、とはいえ一年もすれば、今度はこれが当たり前にはなるとは思いますよ。ただし「一年もすれば」、逆にいえば、今年一年は混乱しまくる、ともいえるわけでね。

それ以外にも、ブロック禁止となったら得点が入りやすくなるって問題もあるしね。
得点が入りやすくなることは、まァいいんです。ただ「どのタイミングならホームに突入させるか」「どのタイミングならバックホームすべきか」が全部変わってしまう。これもワンシーズンやってみないとデータは蓄積できないでしょう。
とくにセーフティスクイズと一三塁でのディレードスチールがかなり有効な作戦になる、と言われてますが、ゴロゴーとかも含めて、これもやってみないと本当に有効かどうか、そしてその対策も含めてわからないですよね。

というわけで(どういうわけだ)、今年はプロ野球そのものが何が起こるかわからない。ルール絡みってのが怖いんだけど、それでも楽しみという感情の方が強い毎日でして。







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