プログラムは人生だ
FirstUPDATE2016.2.16
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Googleの囲碁プログラムがヨーロッパチャンピオンに勝ったそうです。と書いて、これがどれほど凄いことなのか、説明するのは非常に難しい。

アタシだって感覚ではわかるけど「ね?こうこうこんな理由だから凄いんですよ」なんて到底書けません。
それを丁寧に、如何に凄いことなのかを解説してくださっているサイトがあります。



以前も「魔法使いの森」というサイトのことを書かせてもらったことがありますが、プログラムという観点から様々なことを論じておられ、アタシのような「BASICで挫折した人間」からしても理解出来るように解説してくれています。
だからといって、アタシみたいな理解力のない人間が完璧に理解出来るわけないんだけど、何とか要約してみましょう。

「ボードゲームのコンピューターゲーム化」は試行錯誤の連続でした。
40代以上の方ならファミコンの将棋の弱さを憶えておられるでしょう。何とか駒の動かし方がわかった程度の人間ですら勝てるんだから。
もっといえば、ファミコンより前のマイコン時代の将棋ゲームなんて目も当てられなかった。強い弱い以前の問題で、コンピューターと対局できるってだけで凄いことだった。だから「詰将棋問題集」みたいな形が一般的でした。

ギリギリで対人間で勝負になったのはオセロくらいで、とっくになくなったけど月刊アスキーって雑誌で「ASCIIマイクロオセロリーグ」と銘打ち、コンピューターの強さを競う大会が行われていました。
この大会で名を馳せた中に森田和郎という人がいて、彼の人生はオセロよりも強くするのが数段難しいと言われるコンピューター将棋の思考ルーチンに捧げられたと言ってもいい。
森田和郎は2012年に逝去しますが、彼の晩年くらいからコンピューター将棋の実力は格段に上がり、トッププロ棋士に勝つことが出来るようになっていきます。ただし森田和郎自身は晩年は体調を崩していたため、こうした流れに参加できませんでした。(ここまでは要約じゃない。アタシが勝手に書き加えただけ)

囲碁は将棋よりもさらに難しい、とずっと言われてきました。
将棋は「次の一手」の最善の手を見つけることは、極めて難易度が高いとはいえ、可能か不可能かでいえば可能です。
ところが囲碁はそうじゃない。らしい。
何しろアタシは囲碁のルールをまったく知らないので、ここからの説明はかなりいい加減です。
とにかく「最善の手」をコンピューターに打たせるのがあまりにも難しいので、恐るべき方法でこれを克服したのです。

それが「とにかくランダムに打つ」という方法です。

ランダムに打った方が強いのか?ってことですが、ただランダムに打つだけなら強いわけがありません。
ただしランダムで打った結果、勝ったか負けたかを学習するようにする。勝てばその手は良い手、負ければ悪い手、という判断だけをするようにした。んで、物凄い数を勝負させてデータを蓄積させる。
その結果、勝てる手を身につけていくわけです。
とはいえコンピューター自身すら、それが本当に良い手なのかわかっていない。わかっているのは「この手を打てば勝ったことがある、勝率が高い」という、いわば成功体験だけで成り立っているのです。(むろんそれだけじゃないけど、詳しくは先のリンクをどうぞ)

いやぁ、この話は凄い。何が凄いといっても、まんま人生に置き換えられるのです。
人生っつーか、まァ仕事の場合ですが、とにかく「次の一手をどう打つべきか」の判断は常に迷いが生じます。ましてや大事な局面ならなおさらです。
でもこれ、おかれた状況が「オセロ」なのか「将棋」なのか「囲碁」なのかに分ければ、今やるべきことが見えるような気がするんです。
ほとんどたいした思考を必要としない、ま、事務的な作業はオセロです。
どうすれば良いか非常に難しいけど、考え抜けば答えを導けるような場合は将棋。
いくら考えたって最善の手なんてわかるわけがない。そういう時は囲碁、という風に。

世の中には思考を巡らせただけではどうしようもないことは山のようにあります。
そういう時は、先の囲碁プログラム同様、とにかく無茶苦茶でもいいからやってみることが大事です。
しかしもっと大事なのは「学習する」ことと「手数を増やす」ことです。
成功か失敗かを学習しなければ無茶苦茶にやった意味がなくなるし、手数を増やさないとデータを蓄積できない。
考えてもわからないことにたいして、いきなり最適解を導こうと思うから無理がでるわけで、こういう局面に直面したら悩んでる暇なく、とにかく次々とやるべきことが重要なんじゃないかと。

それにしても、ある意味論理的思考しかできないはずのコンピューターに「乱数」という概念を、いわばデタラメを実現させた、もしくはさせようとしたのは誰なんだろ。その発想も凄いわ。







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