中には「ロンドンといえばハロッズ」といいきれてしまうくらい、日本でも熱狂的なファンがいるのがデパートのハロッズです。
だから少なくともノーマークな存在ではない。積極的にというか、ハロッズに行きたいがためにロンドンに行く人は稀かもしれないけど、ロンドンに行ったのなら、せっかくだから行っとくか、くらいの知名度もインパクトもあります。
いや別に、ナイツブリッジ駅にある、あの伝統感満載の店舗に行かなくても、ヒースロー空港内に免税店として入ってるし、日本にも銀座に行けば支店がある。(現注・銀座三越にあったハロッズは2016年にアパレル部門、2017年に紅茶などを含む全てのアイテム販売・ティールームから撤退)
しかし、やっぱり、ナイツブリッジの店舗にはぜひ足を運んでもらいたいのです。
2010年にハロッズは外資系企業に売却されました。どこまで普遍性のある話かわからないけど、現地でよく聞いた声として、どうもこの売却を境にロンドンっ子のハロッズにたいする思い入れがだいぶ低減された、といいます。
アタシたち日本人は、当たり前だけどロンドンっ子ではない。だから依然としてハロッズはイギリスを代表する百貨店だと思ってるのですが。
何故なら、やはりスケールが違う。重みが違う。格が違う。我が日本にも三越や髙島屋などの風格溢れるデパートが現存していますが、やはりハロッズの方がワンランク上のような気がするんですね。
ナイツブリッジ駅を降りてすぐの場所にハロッズはあります。巨大な建物なのですぐ見つかるはずです。
まず一回も行ったことがない方のために。
ここにはリュックで行ってはいけません。リュックを背負っていくと、入り口で「肩から降ろせ」と注意されます。無理矢理肩掛けカバンのように持たなきゃいけない。だから素直に最初からリュックで行くのはやめましょう。
入ると化粧品売り場になります。これは日本と一緒。違うのは食料品売り場も一階にあることです。
食料品売り場のことは後述するとして、エスカレーターで上階へ行きましょう。
毎日やってるか定かではないのですが、ある時行った時、エスカレーターに乗ると「帰れソレントへ」が聴こえてくる。んで、これが凄いと思ったんだけど、レコードを流してるんじゃなくて生演奏なんです。むろん朗々とした声で男性が歌ってたりする。
何故にロンドンでカンツォーネ?とは思ったけど、やはり迫力があります。
ま、ファッションには疎いアタシのことなので、洋服売り場はパス。
個人的に面白いのはオモチャ売り場、家電売り場などです。
日本のデパートの家電売り場なんて「一応取り揃えております」レベルですが、ロンドンでは大型家電量販店がないので、勢いここが目立つ。高級デパートらしく、信じられないくらいお高い家電も置いてあったりするのですが、ビックリしたのが18金のiPhoneが置いてあったこと、値段は忘れたけど、1000ポンドくらいはしたと思う。
オモチャ売り場はね、日本と似てるようで違うのです。
何しろやたら木馬の種類が多い。日本で幼児に木馬を買ってやる、なんてよほどのブルジョアだけでしょうけどね。
あとキティちゃんもかなりのスペースを割いて置いてあります。それくらいキティちゃんはロンドンで浸透しているのです。
キリがないので上階はこの辺にして一階の食料品売り場に移動します。
ちょっと奥まった場所にあるので、最初は気づかないかもしれませんが、とにかくウロウロすれば食料品売り場に行き着くはずです。
生鮮品ももちろん置いてありますが、日本のデパ地下同様デリも充実している。このデリを見て回るだけで、楽しい。
んで、何故か、寿司屋まで入っている。アタシは食べたことはありませんが、板前が目の前で握ってくれる本格的なものです。
あとイギリスといえは紅茶ですが、様々なブランドの紅茶がクールなパッケージングで売られています。お土産にぜひどうぞ。
さてお土産といえばもうひとつ。地下にあるので気づかない人もおられるかもしれませんが、ハロッズグッズを集めたフロアがあります。
ステーショナリーからカバンまで、とにかくハロッズグッズがこれでもかとあります。
ハロッズといえば言わずとしれた高級デパートですが、ここのグッズは全然高くない。ハロッズのロゴが入ったバッグなんか一見高そうだけど、実に手頃な価格です。(もちろんちゃんと見ると高級感は皆無だけど)
超がつく高級品から普及価格のものまで、本当に何でも揃うハロッズ。いくらお上りさん要素があるとはいえ、ロンドンの買い物事情を知りたければココ、なんじゃないかね。
はい、ここからは令和になってからの文章です。
このエントリはもともと仕事用ブログとして書いたものなので、やはり、少し堅苦しくて、しかもオチもない。まァそれを承知でScribble用に転用したのですが、さすがにこれだけではアレなので、2018年に同じくハロッズについて書いた文章も併せて載せておきます。
ただしハロッズとは関係ない箇所はオミットしていますが、逆に言えばハロッズ関係の箇所はそのままです。だから一部重複した内容があるけど、そこはご愛嬌ということで。
ではどうぞ。
1984年発行のmonoマガジンで、ロンドンにある老舗デパートであるハロッズの特集をしているのですが、これが結構面白い。
ハロッズ!アタシもロンドンに滞在していたのでハロッズには何度も行ったことがある。
monoマガジンでも店内見取り図みたいなのが載ってるんだけど、うーん、恐ろしいほど今と変わっていない。やっぱこの当時から生鮮売り場はグランドフロア(日本でいうところの1階)だったのね。
何より変わっていないのは店内の雰囲気で、今と同じく、良く言えば高級感があって枯れた味わい、悪くいえばくすんでいる。
ま、言ってもハロッズは200年近い歴史があるので、2018年(現注・このエントリの執筆時期)~1983年(monoマガジン発行当時)=34年なんて誤差の範囲かもしれないけど、この変わらなさはある意味感動的です。
この時代ってね、かなり、いろんなものがパステルっぽいっつーかパステルチックなんですよ。それは別に日本に限った話ではなく世界的にパステルの時代だったんですよ。
そしてデパートだって、日本のデパートはやっぱりパステルだった。古びた内装を無理矢理パステル色に染め上げていた。これは記憶にある。
なのにハロッズは何ひとつ時代に流されていない。これって何気にすごいことですよ。
行ったことがある方ならおわかりでしょうが、ハロッズってほんと頑固ですからね。リュック背負ったまま店内に入ると「リュック降ろせ。手で持て」と言ってくるんだから。
ま、それくらい頑固だから今のハロッズがあるんだろうけどさ。