スピードボールを投げられることや遠くへ飛ばせることは天性のものである、という定説はかなり疑わしいと思っています。
どちらも「可能なフォーム」と「コツ」を身につけることが出来れば、プロ入り後でも大きく能力を向上させられるんじゃないかと。サンプルもいっぱいあるし。
むろんそれは簡単なことではなく、むしろ果てしなく難しいことではあると思うけど、可能か不可能かでいえば可能なんじゃないでしょうかね。
では天性というか天賦の才能といえる能力は何なんだろう、と考えた時に「視野の広さ」ってのがあるんじゃないかと。
経験不足からの視野の狭さは、さすがにどうしようもない。プロに入って一年二年やそこいらで「広く視野を持て」と言われても、それは無理というものです。
しかし完全にプロの水にも慣れてね、まァ5年程度在籍して、それでも「何だか視野が狭いなぁ」と思える選手は、結構ゴロゴロいたりする。
阪神でいえば、柴田あたりが代表格でしょうか。
この人の場合、守備が下手とかメンタルがとかというより、どうも見えてないところが多いような気がするんですよね。
見えてないところが多いとどうなるか。当然チョンボが増えます。
では逆に視野の広い選手はというと、何といっても福留でしょう。
すべての状況を把握しながらプレーしているってのがこれほどわかり易い選手もそうはいない。
ファインプレーがファインプレーに見えない、好走塁が好走塁に見えない。それはあまりにも「当たり前」のプレーに見えるからです。
例えば同じ好走塁でも絶対に成功するように走っている。つまりギャンブル的要素がない。見てる観客に「え!?そこで走るの?」と思わせないんだから、好走塁であることを気づいてもらいづらいんです。
これは福本さんが繰り返し語っていますが、本当のファインプレーは風や芝生の状態、打者走者の走力、投手が投げる球種など、グラウンドにあるすべてのことを判断材料にしてポジション取りをして、普通なら飛び込まなきゃ捕れないような打球を易々と処理する。それが本当のファインプレーだと。
今の阪神でそれが出来るのは福留、あとは鳥谷と西岡くらいですかね。
もうひとつ、別段視野は広くはないけど、少し変わった視野を持つ選手もいます。
今の阪神では上本です。時たまとんでもないトリックプレーをやる代わり、プロレベルならなんなく処理して当然のことでミスをやらかしたりする。
話が逸れるから短めに書くけど、こういう選手はスーパーサブとして(あるいは超二流選手として)上手く活用してやれば凄い戦力になるんだけど、実に使い方が難しい。
本当に上手く使わないと、下手したらマイナス戦力になりかねない、監督の能力がモロに出るタイプだと言っていい。
だからアタシは上本をレギュラーとして使うことに反対なのです。固定なんかせずにどうスポット的に起用してやるかを考えた方がいい。もちろんスポットの期間が2、3ヶ月になってもいいわけだし。
ただレギュラーってのは基本「競争相手を置かない」存在なわけで、そういう扱いだけは止めた方がいいと思う。
では上本や柴田が今後「広い視野を持つ選手」になれるかといえば、これはもう、絶望的だと思うんですね。
何故なら視野の広さは練習で何とかなる問題じゃないから。性格とか人間性とかそういう本質の部分はちょっとやそっとじゃ変えられないですよ。
しかしさっきも書いたように、1年2年では視野の広さはわからない。それでは新入団選手の「視野の広さ」をどうやって見極めたらいいのか、ですが。
何だか急に話が変わるようだけど、秋葉原にあるサンコーレアモノショップで「ミタマンマカメラ」ってのが発売されてるでしょ。伊達めがねのフレームに超小型カメラが内蔵されてるっていう。
一度ね、どんな試合でもいいですよ。選手全員にアレを付けさせて観戦させればいいと思う。
たぶん福留と柴田じゃ全然違う映像が映ってるはずですよ。それくらい「何をどれくらい、どのタイミングで凝視しているのか」の差が出るはずだし。
何だか最後は冗談ぽくなったけど、アタシは真面目です。本当にやってみればいい。
その結果、コイツはレギュラーとして育てる、コイツは超二流として育てる、みたいな育成方法を決めるってのもアリなんじゃないでしょうかね。