和田豊の4年間
FirstUPDATE2015.10.5
@Scribble #Scribble2015 #プロ野球2015年 #ネガティブ 単ページ 球数 1点しか取らない野球 試合が面白くない 和田豊 阪神タイガース #2010年代 #映画 tumblr

阪神タイガースの和田豊監督の退任が決まりました。

今までアタシはずっと「和田豊」という名前を極力出さないようにしていました。理由は簡単で、彼の能力を、前任者の真弓明信と比しても、一切評価してなかったからです。
正直真弓は能力云々の前に「可哀想」という気持ちが強く、まったく監督に向いてないにもかかわらず、前任の岡田彰布が突然辞任したため、強引に監督の椅子に座らされた感がありました。
もし打撃コーチ、もしくはせめてヘッドコーチでユニホームを着ていれば全然違った評価になったはずで、ま、素直にご苦労様、といえました。

が、和田は違う。
まず、何で和田が監督に就任したのか、そこからして理解できなかった。
真弓政権時、和田は打撃コーチでした。しかし2011年のチーム成績の不振はあきらかに打撃面が弱かったからで、打撃不振の責任を取るならまだしも、昇格して監督になった。この人事は当時からかなりおかしいと思っていました。
就任時、和田は「今の戦力に少しのスパイスを加えれば優勝争いできる」と豪語しましたが、監督就任時に豪語した人は、少なくとも初年度は軒並み低迷する羽目になります。
(例・鈴木啓示「負ける喧嘩はしない」、岡田彰布「期待してもらって結構」、野村謙二郎「どうやったんだ?」←説明すると長いので割愛)

成績だけを見れば、そこまで悪くない。しかしひと言でいえば、和田の野球はつまらなさすぎた。今年(現注・2015年度シーズン)だって優勝争いをしてるにもかかわらず、アタシの中で全然盛り上がってくるものがなかった。
終盤の大逆転がない、ホームランがない、序盤から送りバントを繰り返してひたすら一点「だけ」を取りに行く。
アタシはここ数年、つまり和田が監督になって以降ですが、試合展開ではなく相手の球数だけを気にしていました。
とにかく阪神側は先発が踏ん張り、相手投手には球数を投げさせて、接戦に持ち込んで相手の先発が降板して少し力が落ちた二番手を打つ。
といってもたいして点は取れない。1点しか取りにいかないから。
こんな野球が面白いはずがない。

阪神は伝統的に、打てる年しか優勝できない。打てる年は優勝できるかといえば違うけど、打てない年は優勝できないチームです。
「打てる」の中には、個々の能力だけじゃなしに、常に大量点を取りに行くという方針も入ってると思う。仮にいくら個々の能力が高くても、和田のような1点だけを取りに行く野球は阪神というチームにまったく向いてない、としか言いようがない。
もうひとつ、和田の野球は「選手が能力を100%発揮しないと成立しない」のです。
いくら調子が上がらない選手がいても、ただただ待つだけ。当然その選手は勝負所で仕事が出来ず試合に敗れる。結果、より「ドツボ」に陥って、不調が長引く。
なんつーか、能力を信頼するってのを履き違えてるとしか思えなかった。

今年の采配で一番訳がわからなかったのは江越の処遇です。
序盤に二軍落ちさせたのはわかるし、長打を連発してレギュラーを掴みかけた後打てなくなり、スタメンを外したのもわかる。
でも二軍に落とす必要があったのか?これがわからない。
阪神が夏場に勢いに乗りかけた原因は間違いなく江越の活躍があったからです。
とはいえルーキーなんだからすぐに打てなくなる。これはしょうがない。一応首位戦線にいるのだから、スタメンを外すのも当然といえば当然です。

落とされてからも江越は二軍で打っていた。そして江越が落とされる頃にスタメンでそこそこ打っていた伊藤隼は打てなくなっていった。
同じ頃、上本も怪我で離脱した。ところが江越を上げる様子はなく、となると伊藤隼を使い続けるしかなくなる。上本がいないんだから大和を二塁手として使うしかなく、センター候補は伊藤隼と俊介しかいない。
俊介や坂は控えでこそ価値が出る選手です。なのに特に俊介は度々スタメンで使わざるを得なくなった。
それでも、頑なに江越を上げなかった。上げたのはほぼ順位が決まった頃です。

もし江越がいれば、というのは、江越なら必ず活躍したという意味ではありません。しかし江越さえいれば伊藤隼と併用して、もう少しお互いの調子を保つことが出来たのではないか、と思うのです。
江越と伊藤隼の併用なら、俊介をスタメンで使うこともなく、終盤の選手起用ももっと柔軟に出来たのではないかと。
また江越は打撃だけではなかった。守備は多少不安定ですが、走塁は目を見張るものがありました。
となると伊藤隼がスタメンの時に代走の切り札的にも使えたはずなんです。
もちろん江越の処遇がすべてではありませんが、江越の二軍落ちから「何か」か狂い始めたような気がしてならない。

えらく江越の話が長くなりましたが、正直ね、采配のひとつだけをあげつらって「だから和田野球はダメなんだ」というつもりは毛頭ない。んなもんどんな監督でも納得し難い采配はあります。
でも「野球がつまらない」というのは、結構許し難い。
こちとらファンはね、順位とか成績もだけど、試合そのものを楽しみにしているわけです。
いくら優勝争いしていても、肝心な試合内容がつまらないんじゃどうしようもない。なんつーか、賞とかいっぱい貰う立派な作品だけど、全然面白くない映画を見せられてる気になってくる。
「勝つことが最大のファンサービス」なんていいますが、アタシはそうは思わない。つまらない試合内容で勝っていっても、ほとんど気分の高揚がない。それはこの4年間で嫌というほどわかった。

そりゃ星野の野球は面白かったですよ。岡田もそれなりに面白かった。真弓も今考えるとそこまで悪くない。たぶん次の監督も、少なくとも真弓レベルの面白さはあるはずです。
だから、仮に来年以降順位を落としても、ああ、やっぱり和田の方が良かった、とはアタシは思わない自信があるわけで。







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