不思議な味わいのふたり
FirstUPDATE2015.8.16
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かつて萩本欽一はコント55号の面白さを「坂上二郎さんの味」と語ったことがあります。

これはクレージーキャッツにたいして語った時にコント55号との比較として、なんですが、クレージーキャッツは真似したくなる、でもコント55号は真似できない、何故ならコント55号の魅力は坂上二郎さんの味だから、ということなんですが。
では今、「誰も味を真似できない」芸人といえば、間違いなく、さまぁ~ずでしょう。
でもアタシは長い間、この人たちを買っていませんでした。というのも昔ホンジャマカとやってた「大石恵三」というコント番組があまりにもつまらなかったからで、今思えばホンジャマカとさまぁ~ず(当時はバカルディ)はお互いを殺しあうだけなんだけど、つまらなかったって評価は変わらない。

「つまらない」バカルディが、いつしかさまぁ~ずに改名しますが、それでもたいした面白みは感じなかった。大竹のエキセントリックなボケはダウンタウン松本とはひと味違う鋭さがあったけど、コンビとしてはどうこういうほどじゃなかった。とはいえ三村が足を引っ張ってるとも思えなかった。
はっきりアタシの中で評価が変わったのは「リンカーン」からで、ダウンタウンに次ぐナンバー2の位置でしたが、存在を殺すわけでも目立つわけでもない、でも絶対ポジションみたいなのがあって、いつもさまぁ~ずはそこにいました。
このバランス感覚は並大抵ではないぞ、と注目し始めたのですが、ウッチャンやダウンタウン、タモリのような格が上の人とやっても必ず「さまぁ~ずエリア」みたいなものが出来る。

ここまでは、まあわかる。格上の人と一緒に出た方が輝く芸人は他にもいるからね。
でも不思議なのは、自身がメインの番組でも、やっぱり「さまぁ~ずエリア」でやってるのです。もう単純にエリアの時間が長いだけで、ダウンタウンやウッチャンと一緒にやってる時とさして変わらない。
しかもそれが面白くないとかダレるとかならわかるけど、妙に面白い。しかしこの「妙に」ってのがポイントなんじゃないかと。

アタシもずいぶん長い間さまぁ~ずの番組をいろいろ見てますが、カンドコロがわかんないんですよ。
たとえば大竹のエキセントリックなボケなら、これは分析できないこともない。でもそういうのはバラエティー番組ではほとんど出してないんです。ただ不思議なエリアの中だけにいる。芸人として本来持ってる鋭さは一切出さずに、でも大竹って面白いよね、ってのはキープしている。だからといって何か別の、エキセントリックではないが面白いボケをやるわけでもない。
こういう人たちを理屈で分析しようとする方が無理で、いや分析できるのなら真似も出来ると思うんですよ。でも分析出来ないから真似も出来ない。
つまりそれが「味」なんじゃないかと。

さまぁ~ず以外に独特の味がある、といえばバナナマンだけど、バナナマンはまだ分析ができるんです。あれは日村の天才的な器用さと設楽の空間把握能力だから。
でもさまぁ~ずは、その程度のことさえいえない。正直さまぁ~ずをキチンと分析できる人がいるなら、もうそれだけで尊敬してしまえるくらい、アタシには無理です。
タモリもたけしもさんまも、とんねるずもダウンタウンもウッチャンナンチャンも、たしかにハードルは高いけど、今後彼らと同等の能力を有した人は出てこないとはいえない。何故なら彼らは分析できるから。
でも分析できないさまぁ~ずの後釜なんか、もう二度と出てこないと思うのです。

ほら、萩本欽一のいう通り、「味」の人だった坂上二郎の後継者なんかいないでしょ?







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