本気で調べりゃ何でも面白い
FirstUPDATE2015.8.13
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井上章一って人に興味を持ったのは「阪神タイガースの正体」という本を読んだからで、もちろん阪神が好きだから手にとったのですが、今まで読んだ野球関係の本で一番面白かった。

この書籍が発売されたのはもう15年も前(現注・2000年発行)だけど、今でも年に一度は読み返したりしてます。
それ以降、井上章一って人が気になるようになって、最近では「パンツが見える。羞恥心の現代史」も読みましたが、やっぱこんだけちゃんと調べたものだと、もうそれだけで面白いんです。(現注・「阪神タイガースの正体」という本にかんしてはココに<やや>くわしめに書いています)

以前、取材や調査をしてない作品にカネを出す価値はない、みたいなことを書きましたが、その考えは今も変わっていない。フィクションノンフィクション問わず、いくら面白い作品であっても、何の取材も調査もしてない作品は所詮ブログと同一レベルの価値しかないと思うのです。
アタシはブログだと思うからこそ何も調べずに書いてるのであって、もし金銭が発生するのであれば、そんなもん調べるに決まってる。でも逆にいえば、調べる必要のないブログの気軽さも、なかなか得難い。
もう今の時代、そういう棲み分けでしょ。これはこれでいいと思うし。

さて本題です。
先の「パンツが見える。」って本ね、題材的にはさほど興味があるわけじゃないんだけど、それでも読もうと思ったのは「井上章一ならちゃんと調べている」という信用があるからです。
さすがに桂離宮のことになると著しく興味がないから読もうとは思わないんだけど、それでも読んでみたら面白いんだろうなって想像はできる。
これがもう少し興味を持てる、いや興味があるなしというより身近なことなら、もう絶対に読みたい。

世の中には、とんでもないことを本気で調べているマニアがいます。TBSでやってる「マツコの知らない世界」は本来そういう番組のはずでね、でもあの番組に出てくる人たちを見てると、みんなとても楽しそうなんですよ。
自分にしかわからないはずのものをテレビで発表できる、それはもう金銭の利害とか関係なく嬉しいってのはよ~くわかる。
こんなブログでさえ、アタシはこんなのが好きなんですよって書く行為は楽しいんだもん。
でもそれって実は、それが本当にちゃんと調べたことなら、本人だけじゃなくて受け取り側も楽しいはずなんです。

例えば、ファミレスのメニューの変遷なんかを物凄くちゃんと調査して本にすれば、これは絶対面白いものが出来ると思う。しかも身近な題材なんで売れると思うし。(なんでファミレスのメニューを例に出したかといえば、このエントリを書いてるがファミレスだから、という実にくだらない理由です)
こんなのたいした手間はかからないと思うんです。たぶん各社とも過去のメニューとか保存してあると思うし、本気で取材すればわりと充実した内容になる。
井上章一って人がやってるのは、当時の雑誌、新聞記事、広告、社史、あらゆる同時代の資料を精査した上で本にまとめている。はっきりいって非常に手間のかかる行為で、こんなのに比べたらファミレスのメニューなんか、あまりにも容易い。

過去に遡って調べるってのは本当に骨が折れるのですよ。アタシも「植木等ショー!クレージーTV大全」の時にやったから痛いほどわかってる。
いや単純に調べるだけなら、それはそれで手間だけど、時間さえかければ出来ることです。でも調べたはいいものの裏付けが取れない、みたいなことが頻発するんですよ。だって確認しようがないんだから。
でも今現在のことなら、調べるのも楽なら裏付けも取れる。

アタシを含めた物好きは果てしなく面倒だとわかっていながら過去に目を向けるんだけど、そうじゃなければ、もっと今に目を向けた方がいい。そしてそれは将来絶対貴重な資料になるんだから。
資料になるだけじゃなくて、リアルタイムで面白い、売れるものにもなる。手間暇かけて過去のことを調べて、でもたいして興味をそそらないことをやってるアタシからすれば、余計「今に目を向けた方が得」だと思う。
だからもっとやればいいのに。何度もいうけど、ちゃんと取材・調査をすることが前提だけど、やれば面白くて売れるのに。

え?それすら面倒?もうそれは、向いてないんじゃないの?







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