ナンチャラMusicって
FirstUPDATE2015.8.5
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今思えば「ザ・ベストテン」って番組は、あの時代だから必要だったんだなぁと。

いやね、あの番組の全盛期はアタシの小学生から高校生にあたるわけで、当然見てないわけないんだけど、あれが便利だったのは流行の網羅だったからです。あの番組さえ見てれば流行ってる歌が全部わかるっつー。むろんそういう意図で作ってたんだろうし。
ただ見るだけじゃなくて、録音をすれば、録画じゃなくて録音ってのがミソなんだけど、あっという間に「最新ヒット全集」のカセットテープができる。

当たり前だけど、そんないっぱいレコードを買うわけにはいかない。つか中学生に流行ってるレコード全部とか買えるわけがない。
「ザ・ベストテン」が都合良かったのは、スタジオ録音だったので余計な歓声が被らない。いっても久米宏や黒柳徹子の声が入ったりするし、レコードとは違ってフルコーラスでもないんだけど、それでもタダ(正確にはカセットテープ代のみ)で最新ヒット全集が出来るからね。
さらに次のステージとしてFMラジオのエアチェックってのがあるんだけど、まあそれは別の話。

さて、今の時代「ザ・ベストテン」のような番組が必要ないのは当然として、最新ヒットを中心に聴いてる層はどれくらいいるんだろうか。
特定のアーティストしか聴かない層、ロックしか聴かない層、アニソンやボカロ曲しか聴かない層、アイドル歌謡しか聴かない層、ジャズしか聴かない層・・・。キリがないのでこの辺にしておきますが、そういうのはね、容易に想像できるのですよ。

となると気になるのが、今流行りのストリーミング聴き放題ってサービスです。
Apple Music、LINE Music、AWAなど、活発といっていいレベルで始まりましたが、もうどういった層が対象なんか全然わからないんですよ。
まず絶対当てはまるのが雑食系の人。とにかくノンジャンルで聴く人は一定数いるのはわかってる。あとさっき書いたような、昔なら「ザ・ベストテン」を見てたような層。これも100%カバーできるかはわからないけど、まァほとんどの最新ヒット曲は聴けるはずです。

ではそれ以外の層はどうなんだって話でして。
アプリの評価を見ても、いや2ちゃんやブログなんかでも「アニソンやボカロ曲が少ない!」と怒ってる人が結構いる。たしかにアタシはアニソンもボカロ曲も興味ないけど、でもこれはけして他人事じゃないんですよ。
要は、ちょっとでもマニアックな曲はないってことですよね。
アタシでいえば、昔の曲、昔ったっていろいろあるけど、戦前の曲なんかたいしてあるわけがない。いちいちCD買わなくてもいいくらいなら登録してもいいけど、今現在ではなく今後も「聴きたい曲は一通りあるな」なんてなるわけないし、淡い希望だけで月に1000円払おうとは思わないわけで。

いや、そもそもの話ですが、本当に好きだったり興味のある楽曲はCDであれダウンロードであれ、購入すると思うんですよ。んでストリーミングで聴こうとする楽曲ってのは、興味はあるけど、まだ好きとまではいえないってレベルのものでしょ。
それを「好き」までに引き上げたい、最終的には購入して欲しい、だからストリーミングなんてややこしいサービスをやる、アタシはずっとそう解釈してきました。
ところがAWAなんかは、ストリーミングで完結してるという。これ気に入った、ストリーミングじゃなくて手元に持っておきたい、という需要に対応していないという。
Apple Musicだってオフライン再生に対応しているんだから、完全に手元に持ってるわけじゃないけど、サービスを続ける限りはほぼ近い状態になる。

もうランキングが無意味になって久しいですが、もしかしたらこれからはこういうのが音楽の聴き方になるんでしょうか。いや、ランキングが無意味な時代だからこそこういうサービスが開始したのかもしれない。
でも旧来の音楽の聴き方をして来た人間(あんまり世代って言葉は使いたくない)には、これは遠い世界で起こったこと、という解釈をするしかないですな。
インターネット中心の世の中になって、それでもアタシは付いていってるつもりだったけど、これだけは無理だわ。あまりにも音楽に対するスタンスが違いすぎる。

音楽ストリーミングをひと言でいうなら、好きな曲も嫌いな曲も興味ない曲も、全部持ってるようで持ってない。好き嫌いの区分けもプレイリストに入れてるかどうか、だけ。
しかしこれは凄いリトマス試験紙だわ。「好きなジャンル」ではなく「所有欲」で旧人間か新人間か測ろうってんだから。
正直これは電子書籍やストリーミング動画の比じゃない。電子書籍やストリーミング動画は単なる置き換えでしかないけど、これは違うもん。

マジでエラいところに足を踏み入れたんじゃないかなぁ。どうすんだよ。もう後には引き下がれないぞ。







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