趣味の範疇に入る産業は衰退するだろうな、みたいなことを書いたことがあるけど、まあその中に音楽も入る、とも書いた。しかし音楽<CD>が売れないってのは、それだけじゃないような、ね。
もうこの際「AKB商法」みたいなことには一切触れません。さんざん書いたし。
で、ランキングを見るでしょ。AKB(とその仲間たち)、嵐ばっかりで、ここ数年のものを含めても、ゴールデンボンバーとかきゃりーぱみゅぱみゅとか、関ジャニ∞とか、Perfumeとかね。もちろんEXILEも。
何か共通点があると思いません?いやだから商法じゃねーよ。そうじゃなくて、全部ビジュアルありき、なんですよ。
といっても、美男美女ってことでもビジュアル系バンドでもなくてね。音だけ聴いても半分も良さがでない、みたいな人たちなんですよ。
去年のレリゴーですか、あれだって、もし「アナと雪の女王」という映画の曲じゃなかったら、あれだけ売れたか?となるとかなり疑問だし。
つかアニソンはみんなそうだろうし、サントラなんか最たるもので、観てない映画のサントラを聴いても面白くもなんともないですから。
もう音楽は音だけ聴いてってもんじゃなくなった可能性が高い。たぶん今でもちゃんとやって新人バンドとかあるはずなんです。ちゃんとってのは「音」的にね。
それでも売れるのは、ビジュアルで気を引くことができた「キワモノ」ゴールデンボンバーなんですよ。
もちろん純粋に「音」だけ聴いてる層がいないとはいわない。でもそういう層は現時点ですらマイノリティです。イメージが増幅されるなら映像もあった方がいいに決まってる。アタシだって「映像は一切いらない、音だけの方がいい」と思えるのはクルマに乗ってる時だけだし。
だからもう、音楽CDとかなくていいしょ。純粋に音だけを聴きたい層はCD音質じゃ満足できないだろうし、ハイレゾ音源のダウンロード販売にどんどん流れると思う。
一般層は音質はCDで十分だろうけど、映像がないのは物足りない。
だったらもう音楽CDじゃなくて、完全に音楽DVDに切り替えればいいのに、と思ってしまう。今でもあるけど、ま、あるってレベルだし。
実際ね、映画だったりテレビ番組の再生装置としてのDVDってこれから中途半端なメディアになりますよ。いくらブルーレイの将来性が未知数だったとしても、テレビより低画質なものがいつまでも生き残るとは思えない。仮にブルーレイが現状に毛が生えて程度だったとしても、ダウンロード販売に切り替わるだろうし。
でもDVDが「音楽専門」としてなら、生き残る道はあると思う。音楽が主体ならDVD画質でも問題ないし、将来AKBやEXILEや嵐が廃れても、次に出てくる人たちも今と同様、ビジュアルがあって初めて完成する、みたいな感じだろうし。
いや、というかそもそもレコード→CDってのは、本来不完全なメディアだったはずなんです。実演を見聞するのが不可能な人のために、もしくは手軽に楽しむためのものとして「音の缶詰」としてレコードができた。言うまでもなくCDはその発展系でしかありません。
それが時代が下ると、音だけで完結する、レコードの特性を活かした音楽なんてもんがでてきた。アタシが敬愛するリー<スクラッチ>ペリーのような、楽器演奏者でもヴォーカリストでもない、エンジニアのような人が、音楽を切り刻み再構成する、そんな再構築サウンドを生み出した。つまりレコードを「音の缶詰」から脱却させたのです。
つまり「映像のない音だけの簡易版」から「映像がないからこそ可能な音楽」を作り上げた。
その影響は絶大で、一時期は主流にまでなりおおせたのです。
しかしそれは数年前までの話であり、現在は、やっぱり音楽は目で見て、耳で聴いて、両方あって然るもの、という風に「揺り戻し」が起こっているともいえる。
どっちが正しいとか、どっちが時代の最先端という話じゃない。しかし今現在の主流がビジュアル込みなんだったら商売上儲かる方を優先させるべきじゃないかと。
幸い今はビジュアル込みが可能で、すでに普及しまくってるDVDなんてメディアがあるんだから、何もCDに固執する必要はまったくないんじゃないかね。