クレージーキャッツファンを増やす努力を今一度試みる
FirstUPDATE2015.4.7
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以前書いた通り、にわかであろうがなんだろうが、自分と同じ趣味を持つ人はできるだけいた方がいいのです。もっとはっきりいえば商売になった方がいい。

アタシでいえば、それがクレージーキャッツですが、いやいや、もうマジで、クレージーキャッツのファンを増やそうとするのは難しすぎるのです。
もし仮にアタシが超有名人だったとしましょう。んでテレビかなんかで、いかにクレージーキャッツが凄いかを熱く語ったとします。
たぶんそれでCDやDVDの売り上げは伸びると思います。
しかし、それはほんの一瞬だけなんですね。
実際植木等さんが逝去されて、テレビで追悼番組が放送されて、その直後にCDが売れた、なんてことがありました。(この話は関係者から直接聞いたから間違いない)
ではその後、継続して売れたかといえば、あっという間に波は収まりました。
そんなもんなんですよ。某電通あたりが信じられないくらいのレベルでゴリ押ししても、結局はクレージーキャッツの凄さより、ゴリ押しの方が目立つ。そういう時代だからね。もうしょうがない。

しかも植木等さんをはじめとするほとんどのメンバーは鬼籍に入られ、存命なのは犬塚弘さんだけになりました。
当人が逝去後も存命中並みに関心を集める、なんて例は皆無じゃないけど、もっぱら文化人や芸術家で、芸能人は「若くして逝去した」場合に限定される。赤木圭一郎然り、尾崎豊然り。
たぶん天寿を全うして、それでも人気を保ってる人なんて、日本では石原裕次郎、美空ひばり、テレサ・テンくらいじゃないかね。それでも「その程度」止まりだし、世界のミフネですら晩年には相手にされてなかったんだから。

クレージーキャッツの場合、一番参考になるのは、植木等が「スーダラ伝説」で復活した時だと思うんです。
これはクレージーキャッツに関心のない方でも、一定の年齢の方なら憶えておられる方も多いと思います。

植木等個人、もしくはクレージーキャッツをもう一度表舞台に立たせようという試みは、「スーダラ伝説」以前にも何度か行われましたが、ことごとく失敗しています。(中略)どうしてもうまくいかないクレージー復活祭に、ソロ歌手として挑戦するというのは、やや冷静になったアタシには、かなりの冒険に思えてきました。(中略)なぜ「スーダラ伝説」だけ成功したのか。少し変な解釈ぽいですが、アタシは成功の要因のひとつに、あのド派手なシャツがあると思うのです。それまでの人気再燃作戦は、あくまで<あのクレージーキャッツがよみがえる!>といったニュアンスのもので、白スーツにループタイというような、時代性のない衣装が用意されていました。(中略)その点、「スーダラ伝説」はリバイバルという要素を抜いて、<平成の世にあらわれた無責任男>というナリで登場しました。(CrazyBeats「ハナ肇とクレージーキャッツの軌跡 第八章 スーダラ伝説」/現注・このエントリは完全オミット)


長々と引用しましたが、要は時代とのマッチングがなければ、誰がどれだけ推そうがブームになんてならないし、ましてや一時的なブームではない、安定した人気など想像を絶するほど難しい。
アタシは「CrazyBeats」なんていうクレージーキャッツのファンサイトをやっています。にもかかわらず、あえてここにこんな内容を記したわけですが、正直「植木等?クレージーキャッツ?なにそれ?」となる可能性だってある。「それなりに知ってることが前提」のファンサイトで記すのとは訳が違う。
しかし順番でいえば、まず何者か知ってもらった上で、後から興味を持ってもらうってのは絶対違う。

今はネットでいくらでも検索できますからね。テレビを見てて「このCMに出てる子、誰だろ?」となったら「商品名+CM」で検索する。
だから最初は植木等が何者か、クレージーキャッツが何者かを知らなくても全然いいのです。
しかしインパクトは強烈でなければならない。それこそ全然知らない人が検索したくなるくらいには。
知ってる人が「お宝映像だ!」と騒ぐようなもんでもなく、知らない人でも「これ、前に何かで見たことあるよ」ってもんでもない、もっとガッと心をひっ捕まえられる映像を用意する必要がある。
「スーダラ伝説」があれだけヒットしたのは、時代とのマッチングもあったけど、結局はあの紅白でしょ。今見ても、ナンジャコリャレベルだもん。

以前、アタマのオカシイ、だけど信じられないくらい歌が上手い黒人をロンドンで見たって話を書きました(現注・だいぶ増補してあるけどこのエントリのことです)が、それと同じなんですよ。
やっぱね、アタマのオカシイ人ってつい目をやってしまうもんなんです。しかしそれだけではすぐ目を背けてしまう。でもそこにとんでもない歌唱力なりなんなりがあったら、つい見入ってしまう。
さらにオチまでつけて、実はこれはエンターテイメントだったんだとなったら、笑うとかいう以前に呆然となってしまう。

紅白での植木等はまさにそれでしたからね。しかも「アタマがオカシイ」の演技ぽさが皆無で血肉レベルだったんだから、なんだこれは!となった人がいっぱいいて当然なんですよ。
犬塚弘さんを残してメンバーは故人となりました。もはや伝説レベルの人たちです。そんな人たちを変な扱いをするのは、たしかに憚られるかもしれません。
でもね、名前が「クレージー」なんですよ。狂ってると自ら名乗ってるのですよ。
だったら「こんなアタマのオカシイことをやってたグループがあった」って方が、時代に関係なく食いつく人が多いと思う。

名前?能力?そんなの後!とにかく「この映像にこんなアタマのオカシイ人たちが映ってるぞ!」となって、人々が振り向く。そこから始めないと、どうしようもないと思うんですがねぇ。







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