ギミック感、それは男の夢
FirstUPDATE2015.3.15
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アタシが幼少時分、熱中したものとして何度か「仮面ライダー」を取り上げましたが、もうひとつ永井豪ラインも好きで、「マジンガーZ」も「ゲッターロボ」も、本当に熱くなって見ていました。

うちの家はわりと子供向け映画に寛容だったのですが、何故か死ぬほど見たかった「マジンガーZ対デビルマン」(東映まんがまつりの一本)には連れていってもらえず、あまりの見たさに勝手に「こんなストーリーなんじゃないか」と夢想さえしたほどです。
「マジンガーZ」や「グレートマジンガー」、そして「ゲッターロボ」「ゲッターロボG」の魅力はなんといっても「合体と変形」でした。
もちろんアニメでも合体変形はするのですが、何より心をときめかせてくれたのは一連のオモチャで、だいぶ簡略化されてるとはいえちゃんと合体変形するものがあった。拝み倒して買ってもらったマジンガーZの超合金も、ちゃんとロケットパンチが飛んだし。

だからね、どちらかというとストーリーに熱中するというより手元のオモチャがアニメとして動いてるって魅力の方が大きかったかもしれません。
他にも「鋼鉄ジーグ」とかね。これも磁石でいろいろ変形するんで面白かったし、本当に子供向けなのかどうなのかわからない「ゴールドライタン」とか。
たぶんこれはジェネレーションギャップとかないと思ってるのですが、男の子って合体とか変形とかのギミックが大好きなんですよ。何故、といわれてもわからないけど、なんか心がときめく。もうこれは普遍の真理といっていいんじゃないかと。

さてさて、一気に話は飛びます。
ソニーから分社化したVAIOが日本通信と組んで「VAIOフォン」なるものを発表しましたが、ネット上での評判が恐ろしく悪い。
一言でいえば「スペックのわりに高すぎる」ってことなんだけど、では何故高くなったかといえばVAIOがデザインしたからだと。
ところがこのデザインってのが、あまりにも没個性。アタシも正直「こんな没個性なモンでデザインが、とか謳う?」と疑問しか湧いてこなかった。

カッコいいデザインってのは、賛否両論あってしかるべきなんです。メチャクチャカッコいい!ってのと、なんだこれダセー!って意見が二分されなきゃ「デザインに力を入れた」なんていっちゃいけない。
結果、ダセーが大多数でもいいんです。でもそういう好き嫌いが分かれるモノは「デザインに力を入れた」っていっていいと思う。でもあんな没個性なものはデザインとはいわない。以前書いたように、デザインに無難を求めた時点で、それはデザインでも何でもないからね。

昔、ソニーはPalmOSを使った「クリエ」というブランドでPDAを発売していました。アタシはPocketPC(WindowsMobile)派だったので使ったことはありませんが、なかなか面白そうな製品群だったことは覚えています。
当時のPDAって機能の弱さをギミックで補うみたいなところがあってね、スライドでキーボードが出てくるなんて当たり前だったし。
いや、それをいうなら当時のっつーか、ガラケー全盛期のケータイなんて、今見たら笑っちゃうほどヘンテコなギミックを仕掛けてあった。
やれ回転二軸だ、やれリボルバーだ、と。そのうちマジでロボットに変形するんじゃないかと思ったくらい。

でもさっき書いたように、こういうギミック感って男性は好きなんですよ。ケータイ如きにここまでやる?アホくさ、と思いながらも弄ってみると、なんか楽しい。
だから当時いっぱいいたでしょ、ケータイを弄ってるのが。弄るったって画面見てるわけじゃない。意味もなくパカパカやったりカチャカチャやったり。アタシもSO505iってリボルバータイプのガラケー使って時はガンマン気分でカチャカチャやってたし。

そうした中にまったく違う方向から攻めてきたのがiPhoneなんですね。
あれはもう当時の流行を考えると逆張りに近くて、一切のギミックを排除、ボタン類も最小限にとどめる、といった方向に打って出たわけです。
これはこれで大チャレンジであり、でも大成功を収めます。
その後iPhoneのシンプルさがデファクトスタンダードになってしまったので、どうもiPhone=無難と思ってしまいがちですが、あれは攻めた結果なんです。
iPhoneの大ヒットによって、ガラケーに代表されるギミック感の強いケータイは急に色褪せた存在になりました。今じゃ「スライドキーボードを内蔵しました」なんて製品には、どうしてもキワモノ感がついてまわる。こないだソフトバンクが発表した折り畳みガラスマだってキワモノ扱いだし。

でもね、本来VAIOのような特殊な会社はそっちから攻めるしかないと思うのです。今だからこそギミック感の強いヘンテコな端末を出す。大向こうにはウケないけど、一部のマニアが熱狂的に受け入れてくれる。
つか分社化されて、そういうのを出すんだとばっかり思っていたのに。たぶんそう思ってたのはアタシだけじゃないはずで、だからこそガッカリ感が強くなってしまった。
やるんならとことんやれよ。もうスライドキーボードなんかじゃダメだよ。マジでロボットに変形しそうなヤツとか作んなきゃ。

そんな「キワモノここに極まれり」みたいなヤツをVAIOらしいデザインに仕上げて、初めて「VAIOデザインです」って言えると思うんだけどね。







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