そこ弄っちゃダメっしょ
FirstUPDATE2014.10.1
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実写に限らず漫画からのアダプテーションはどれもこれも基本的には「不可能」ってとこから出発した方がいいと思うんです。

ドラえもんの体内には、セワシの意向に反する言動を取ると、たちまち厳罰が与えられる「成し遂げプログラム」が組み込まれており、これは本作独自の設定だ。この成し遂げとは、将来のび太としずかちゃんを確実に結婚させること。ドラえもんは少しでも「未来に帰りたい」と口走ろうものならば、即座にプログラムが働き、強烈な電流を体中に流して反省を促すのだ。考案した山崎監督は「ドラえもんの葛藤がしっかりと描けるし、のび太との出会いと別れを効果的に表現できる。最初はドラえもんがのび太と一緒に暮らすことを嫌がり、友情を育んだ後半はのび太と別れたくないのに未来へ帰らねばならなくなる。便利な装置でしょう」と狙いを説明した。


↑は「STAND BY ME ドラえもん」の設定を説明したサイトからの引用ですが(現注・現在は引用元ページ消滅)、これが何でダメだと思ったのか、もうちょっとちゃんと書きます。
「ドラえもん」という漫画の、ドラえもんというキャラクターの設定って、ある意味ものすごく都合がいい存在なんです。
たとえばドラえもんって「自分がロボットである」ことで悩んだりしないでしょ。かといって人間にたいして対抗心とか反逆精神もないし、人間全体を批判したりもしない。同じロボットである「鉄腕アトム」とは真逆です。

人間と同じようにメシも食えば眠りもする。唯一人間と違うのはトイレに行かないことぐらいです。
いわば「ロボットとしてのアイデンティティ」がないのが「ドラえもんのアイデンティティ」になってるといってもいい。
実際漫画を読んでて、ドラえもんはロボットなんだって意識するような場面はほとんどない。ポケットからいろいろ出すし、スガタカタチはあんなだけど、それは話を展開させるための都合でしかないんです。

結局ドラえもんがどういうつもりでのび太のいる過去にやってきたか、最後まで描かれなかった。当たり前だけど「電流が流れるから」じゃなかったはずです。
もちろんきっかけはセワシを不憫に思ったからなんでしょうが、あくまできっかけで、これは想像でしかないけど「過去に行って祖先の運命を変える?それ、面白そう」と思ったに決まってる。
原作をちゃんと読んだらわかるけど、ドラえもんって悪ノリが酷いんです。時にはのび太でさえ引くくらい悪ノリする時がある。何度もいうけどロボットなのに、ですよ。
そんなドラえもんが「電流が流れる」みたいな強迫じみた理由で過去に来るわけがない。

「電流が流れる」から「未来に帰りたいとはいわない」「のび太の運命を変える」、これはドラえもんというキャラクターの、ひいてはドラえもんという作品の全アイデンティティを否定してるも同じです。
ひと言でいえば、何でこんな改悪してまでドラえもんでやりたいの?ってことなんです。
これもTwitterに書いたけど、トヨタのCMはのび太の性格が180度変わってる。絶対のび太は気弱じゃない。むしろ負けん気が強い好戦的な性格です。

いうちゃなんだけど、つか嫌な言い方だけどドラえもんは国民的漫画ですよ。当然二次著作物もいっぱい作られてる。でも「二次著作物としてドラえもんをやりたい」って人でさえ、全然ドラえもんという作品の本質が把握できていない。「そこ弄っちゃアレンジじゃなくて全然別の作品になるよ」ってラインがわかってなさすぎる。

アタシはね、どっちかっていうと寛容な方だと思うんです。実写の「忍者ハットリくん」や「怪物くん」が大人になったことも全然いいと思うし。両方ともアレンジがダメなんじゃなくて、作品としてつまらなすぎるのが問題なだけで、アイデンティティの崩壊まではいってない。
しかし「STAND BY ME ドラえもん」は崩壊してる。キャラクターデザインとかストーリーとか、そんなことは枝葉なんです。でも「これはドラえもんです」って名乗るんだったら、作品のアイデンティティだけは絶対に守んなきゃダメです。

いや、つーか藤子プロ、そこはダメ出ししようよ。あんたらのドラえもんへの理解度まで疑われるよ・・・。

まァ、この辺のネタはいろいろ書いてきたんでね。よろしければ併せてどうぞ。




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