というようなタイトルにしましたが、有用なアドバイスはあります。といっても一種類しか浮かばんけど。
それは知識であったり情報を授けてくれるアドバイスです。厳密にはアドバイスとは違うのかもしれないけど、そういうのを惜しげもなく教示してくれる人は本当にありがたい。たとえそこに金銭が発生していたとしても、です。
しかしそれ以外のアドバイスで有用と思うものに当たったためしがない。というのもそれ以外となると、ほぼ二種類しかないはずです。
・そんなことわかってんだよ、みたいなアドバイス
・成功するためのアドバイスではなく、失敗しないためのアドバイス
まあ前者は論外です。つかエラソーに言いたがる人間に限って、んなことわかってんだよみたいなことしかいわない。んで具体的にどうすればいいかと問えば「そこは自分で考えなきゃ」だとさ。何じゃそれ。
では後者はというと、ちゃんと考えてくれる人ほど「失敗しない」アドバイスをくれる。つまり心底こっちのことを思ってくれてのアドバイスです。
それは百も承知なのですよ。善意ってのは痛すぎるほどわかる。だから本音は言いづらい。
しかしね、本当のことをいえば、失敗しないためのアドバイスなんかいらないのですよ。成功するためのアドバイスが欲しい。だって失敗したくないんじゃなくて成功したいんだから。
失敗しないことと成功することは似て非なるもので、失敗したくなければ何もしなければいいんです。そこまで極端じゃなくても、慎重に、根気強くやれば、まあ大失敗はしづらい。ゆっくりやればやるほど歩みを止めることは可能だし、後戻りもしやすい。
だからそういいたくなる気持ちもわかる。迂闊なことをいって恨まれるのも馬鹿らしいし。
これね、逆の立場なら、つまり自分が相談される側なら、もっとわかるのですよ。
どれだけ相手のことを思って、どれだけ相手のことを知ってて、ね。いや相手を思う気持ちが強ければ強いほど、相手を知ってれば知ってるほど、何もいえなくなる。
だって成功する方法なんかわかるわけないもん。わかってたらとっくに誰もが知ってるし、誰もが成功している。けど残念ながら人生であれ仕事であれ必勝法なんてあるわけない。
でも失敗しない方法、いや違うな、失敗しやすい方法なら、それなりに社会経験があれば、おぼろでもわかる。
アホみたいな例でいえば、重要なミーティングに全裸で参加したら失敗するよ、みたいなことはいえる。
もう少しマジメにいうなら、そういう場には黒の革靴の方がいいとか、脱いだコートをどこに掛けたらいいとか、そんなことは、まあいえます。
でも「ミーティングでこんな話し方で、こういう内容のことをいえ!」なんて絶対わかりっこない。先方の都合や気分もあるし。ましてや「こうやったら絶対成功する!」なんて嘘に決まってる。だから本気で相手のことを思うなら、いや仮に思ってなくても、成功するためのアドバイスなんか絶対にいわないわけで。
でもさっき書きましたよね。失敗しないアドバイスが欲しいんじゃない、絶対するアドバイスが欲しいんだ、と。とはいえ失敗回避のアドバイスはいえても、成功のためのアドバイスはいえないってのも書きました。
ところがね、いるんですよ。こうやったら絶対成功する!って言葉にできるのが。
つまりナンチャラとかナンチャラを生業にしている人たちです。ナンチャラしか書かないけど、だいたいわかるでしょ?
ああいう人は平気で「こうしなさい、されば成功する」なんていう。恥ずかしげもなく口にする。それも自信満々で。
アタシはタイトル通り、アドバイスはいらない人間です。不遜に聞こえるかもしれませんが、本気で自分のことを考えてくれる人であればあるほど、その人を無駄に悩ませてしまってるし、かといってその通りにやる自信もない。(その通りにやる<気>がないんじゃなくて、やる<自信>がないんです。基本弱い人間なんでね。こんな風なやり方がしたいと思い立ったら、それを破棄してアドバイス通りを押し通すだけの自信がないっつーか)
でもナンチャラやナンチャラは、お構いなしでしょ。いやナンチャラやナンチャラだって、そんなことはわかってるはずなんです。でもそれが商売だからね。だから必要以上に自信満々で上からいってくる。
自分の周りにズバッといってくれる人がいないというのは、実はまともな人が周りにいるってことです。
でもそれに気づかずに「この人は成功の方法を教示してくれた。そんなことをいってくれる人は誰もいなかった。この人は凄い。この人についていこう」なんて感じになる人は、まあいる。身の回りにも、いるし。
成功の法則とか成功の秘訣なんて語りだすのにロクなのはいない。そんなもんないんだから。あったらアンタしか知らないなんてわけないよ。世界中の人が知ってるよ。
つまるところ、したり顔でのわかりきったアドバイスも、本気で考えてくれる知人の失敗しないためのアドバイスも、デタラメ極まる成功のためのアドバイスも、全部まとめて「いらない」となるわけでして。