三洋ファンヒーター回収CMスレに思う
FirstUPDATE2005.7.30
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アタシはかなり2ちゃんねるを見てる方だと思いますが、書き込んだことは一度しかありません。

しかし見るに限っては毎日100以上のスレをチェックしている次第でして。それもこれも2ちゃんねるブラウザがあるおかげですけどね。
アタシが見ているスレの中に「三洋石油ファンヒーター回収CM」スレってのがあります。スレの概要はこうです。

問題のファンヒーターCFH-S-221F型は昭和59年に三洋電機から発売。 製造不具合により一酸化炭素中毒事故を起こし、4名の死者を出す騒ぎとなる。 死者を出し事態が切迫しているだけに、回収CMもかなり強烈に怖くて印象に残る。


細かくは現行スレと前スレを見て頂くとして、かくゆうアタシも3年ほど前(現注・2002年頃)から非常に興味深く拝見させてもらっていました。
何がそこまでアタシを惹きつけたのかというと、現物のCMがでてこないので、スレ住人の情熱で再現Flashまでつくりあげたことです。これが実に素晴らしい出来で、いやアタシは現物を見ていないのでどれほど忠実かはわからないのですが、「ここまでやるか!」と思わせる徹底的にディティールにこだわったFlashには感動すらおぼえました。

もちろんこの時点で疑問がなかったわけではありません。このことは現行スレでも議論の対象になってますが、20年以上前のCMをそこまで詳細に記憶している人がいるのか?そして現物がない以上「これが正解」という判断をどうやってくだしているのか?などです。
しかし何しろ場所が2ちゃんねるですから、ひとりぐらい異様な記憶力の持ち主もいるだろ、とほとんど気にとめませんでした。

スレ住人がこの再現Flash作成に情熱を燃やしていた頃がこのスレの全盛期で、それ以降みるみる過疎スレにまで落ちました。
理由は簡単です。「あまりにも現物CMがでてこない」からです。その結果ほとんどの住人は現物の存在確認をあきらめ、やがてつまらないコピペ改変でスレが埋まっていくようになります。

そしてその時は突然きます。
もしCMがでてきたら焼身自殺してやる!との宣言にたいして「現物を持っている」というA氏があらわれたのです。最初は半信半疑だったスレ住人も、テレビ画面をデジカメで撮った画像をうp(アップローダーにアップロードすること)に驚喜しはじめます。
過疎スレだったのが一夜にして祭りと化し、たんに騒ぎたいだけの連中が大挙としてあつまったのです。
この事態に、アタシは冷静ながらも喜びを感じました。CM(それも人身にかかわる緊急のCM)をネット上に晒すことの是非はともかく、ついにこのスレ住人の念願が叶うんだ、そう思うとひそかにROMっていたアタシも喜ばずにはおれなかったのです。

ところが事態は一転します。
A氏はPCに動画を持ってくる環境にありませんでした。そこでCMをDVD-Rに焼いた後、CM板でも評判のいいB氏にDVD-Rを郵送し、B氏が代理で公開する、という方法がとられる予定でした。ところが突然A氏の態度が翻ります。「遺族のことを考えて、CMのうpを中止したい」とのことでした。
さらにこの事態に反応したC氏をも巻き込んで、スレは荒れに荒れました。

スレはにわかに探偵スレのごとくなっていきます。「A氏=B氏=C氏」といったものあから、「A氏はホントはCMを所持してなかったんじゃないか?」、「A氏の映像の出所は当時のビデオ録画ではなく、マスターからのコピー」など諸説が飛び交いました。挙げ句、CMで使われているフォントや、当時このフォントの汎用度合いに関してまで鋭い意見が散見されるようになります。
そして現在、祭りは終わりましたが、以前の過疎スレからすればまだまだにぎわいを続けており、探偵ごっこは続いています。

さて、仮説は無数にありますが、アタシは「A氏は3年前からCMを所持しており、再現FLASHの作成時にいろいろアドバイスをしていた」というのはもっとも信憑性の高い推理です。これならアタシが再現Flashをみた時に感じた不自然さ(あまりにも詳細の完成度が高い)というのも納得できます。
それにしても、今回ばかりはスレ住人の怒りはわかります。中には怒りを隠してまで「次の神が現れるのを待つ!」なんて人もいていじらしいばかりです。が、今回の騒ぎを通じて、ひとつ大きなことを学んだような気がします。
「人間の情熱を倫理や法律では縛れない」ってことをね。

何が正しくて、何が間違っているか、そんなことはわかりません。というのももうひとつ紹介したいサイトがあるからです。
ここの「不思議な日本の携帯電話」というタイトルのエントリなのですが(現注・リンク切れ。たしか「日本と海外におけるマナーモードや公共交通機関でのケータイの使い方の違い」みたいな内容だったと思う)、これを読むにつれ「マナーや倫理っていったい何なんだ!?」と思わずにはおれません。

回収CMをうpすること、はたしてそんなに間違っているのかな?もちろんアタシもその答えは持ってません。でもそんな簡単に決めれることじゃない気がするんですよねぇ。

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えと、あ、ここの箇所は令和になってから書いています。
何しろ上記エントリは進行中の出来事なので、何だか如何にも尻切れトンボ感がどうもスッキリしない。
そこで、若干趣旨と異なるのですが、上記エントリから10年後に書いた文章を<補足>として追記しておきます。

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この騒動から三年後、つまり2008年です。
なんと本当に現物CMが見れるようになったのです。今では「三洋 ファンヒーター 回収 CM」でググればいきなりYouTubeへのリンクがヒットするようになった。ご丁寧にも2000年代前半の2ちゃんねらが情熱を傾けて作り上げた再現Flashまで出てきます。(現注・残念ながら上記ワードでは再現Flashの方が出てこないので動画を貼り付けておきます)

モノホン


再現


不謹慎、という言葉をとりあえず横に置いて、是非「本物のCM」と「再現Flash」を見比べていただきたい。
フォントから色合いに至るまで徹底的にディテールにこだわった再現Flashを見るだけで、今の2ちゃんねるとこの頃くらいまでの2ちゃんねるは全然別物、というのわかっていただけるんじゃないかと。

再現Flashがなくなったので、もうよくわからなくなってしまったのが残念です。
というか2ちゃんねるでも5ちゃんねるでもいいけど、あそこの良さって<熱量>だったんだけどな。幼稚なのはずっと幼稚だけど、昔は<熱量>のある幼稚から<醒めた幼稚>になっちゃあ、ね。




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