岡八朗の地味な顔で派手な個性を偲ぶ
FirstUPDATE2005.7.28
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「電車男」4回目、どんどん冴えたギャグは減ってますが、依然快調ですな。しかしまさか「伝説のコケ」が堺正章→木梨憲武から、伊藤淳史に伝承されようとは。

さて先日、岡八朗さんが逝去されました。てことを書こうか書こまいか悩んだのですが、やっぱり書きます。
アタシはずっと岡八朗の個性って掛布に似てるなぁと思ってました。掛布とは元阪神タイガースの掛布雅之です。
掛布って現役時代を知らない人から見れば、ものすごく地味なタイプに見えるのではないでしょうか。実際掛布の顔は地味そのものです。しかしプレーは非常にケレン味のある、派手なプレーヤーでした。だからこそ(もちろん成績もありますが)「ミスタータイガース」と呼ばれたわけです。

岡八朗も顔だけみれば非常に地味です。奥目を売りにしてましたが、ふつうなら奥目という特徴は地味さを助長させるもののはずです。しかし舞台における岡八朗は派手そのものでした。特別なことをするわけじゃない。しかも花紀京の受け役をすることも多かったのですが、それでも強烈な個性を放っていたことは疑いがありません。
このことは役者を目指す人への大きな指針になったのではないかと考えています。
大阪出身で、地味な顔立ちの役者の中のどこかに「岡八朗」という人の存在があったんじゃないかと。

役者を目指す人すべてが派手な顔立ちを持っていたり、オーラを漂わせているわけではありません。一般人に紛れると余裕で紛れてしまうぐらい地味な人もいっぱいいる。もちろんそれは非常に貴重なものでして、舞台上の全員が全員派手なオーラを出していたら、それはそれで舞台がなりたたない。
となると一見地味な感じにみえて、実は常にスポットが当たってるような人は非常に重宝がられるはずなんです。
岡八朗はまさしくそれで、いわゆる怪優ではないから突飛なキャラクター設定はいらない。市井の人をあたりまえに演じることもできます。しかしはみ出した部分をださせると、その瞬間は大スターなみのスポットが当たる。

「どっからでもかかってこんかい!」

「くっさー!えげつなー!」

「ボクシングもやってたんじゃ!というてもこれは、通信教育やけどな」

みたいなギャグも、市井の人を自然に演じることのできる岡八朗だからこそ輝くのだということです。
ただつくづく残念なのは、吉本新喜劇以外で岡八朗の個性を活かせる人(スタッフ)がいなかったことで、本人の行動にも問題があったかもしれませんが、それでも花紀京といい、木村進(博多淡海)といい、実力的には今の伊東四朗の関西版、みたいなポジションまでいっても不思議ではなかったと思います。
枯れていく時期にテレビコメディがつくられなくなったのは不幸で、若手の人気芸人を主役にしたテレビコメディがもっとつくられていれば、岡八朗のような人はもっともっと(世間的に)大きな存在になったはずなのに。
何度もいいますが、死んでからじゃ遅いんです。やっぱいいものは当人が生きてるうちに評価しないと。

病気で精彩のなくなった博多淡海はともかく、花紀京なんかを今のうちにまっとうな知名度にすることこそ、次の世代の使命だと思うのですが。まぁアタシはなんにもできませんが。

岡八朗はたぶん「岡目八目」から来てるんろうけど、上手い芸名だなぁ、と思う。
というか昔のネーミングのがいろいろ知的ですよね。ま、今が馬鹿っぽいって言いたいわけじゃないけど。




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