ドリカムじゃなくてもいいドリカム
FirstUPDATE2005.4.2
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自己完結という言葉がありますが、この言葉をきくと自然とドリカムのことが頭に浮かびます。

実際ドリカムが自己完結的かどうかは置いておいて、他のドリカム的なポジションの歌手には自己完結的なニオイはしないんですね、不思議なことに。
たとえば中島みゆきやユーミンなんかは世間の認知のされ方において、ほぼドリカムに近いと思うんですけど、もっと自由というか、テキトーにやってそうな感じがするんです。そこにいくとドリカムの場合、無責任という名の責任を背負っているような感じがしてしかたがない。もっともすべてアタシ個人の感じ方なんですが。

吉田美和がユーミンを意識していたのは本人も認めていますし、ただ音ではなく、おそらくユーミンのあり方を意識してたんでしょうね。今ファーストアルバムを聴くと、意識が前面に出すぎていてそんなによくなかったりする。
ところがセカンドアルバム「LOVE GOES ON...」はそんな中途半端な自意識が抜けて、非常に完成度の高いアルバムになっています。
「LOVE GOES ON...」は「よくぞここまでクオリティの高い曲を集めたな」と思わせるアルバムで、ヒットした「うれしい!たのしい!大好き!」や「うれしはずかし朝帰り」、クリスマスソングの決定版ともいえる「サンタと天使が笑う夜」、個人的には一番好きな「星空が映る海」など、後の展開を考えると「ちょっともったいない」と思わせるほどです。

中でも表題曲の「LOVE GOES ON...」の歌詞は身震いがするほどすごく、「耳を背中にそっと当てて声を聴くと」「深いディレイがかかってる」なんか、ちょっとでも歌詞をかこうと思った人間なら、発想力と発想の言葉の置き換え具合のすばらしさがわかっていただけると思います。
「星空が映る海」でも「真っ黒な空 真っ黒な海」という、ほんらい美しさを表現するのに不適合な「真っ黒」という言葉を使うなど、まさに吉田美和の才気が爆発しています。

しかし「ドリカムはほとんどこの時点で燃え尽きてしまった」というのがアタシの持論で、「笑顔の行方」を聴いた時「あ、ヤバいなぁ」と思ったんだけど、ホントにどんどんアタシの琴線に触れるような楽曲がなくなっていってしまいました。
もちろんそれ以後も「Ring!Ring!Ring!」、「KUWABARA KUWABARA」などの佳作もありますが、ほとんど出涸らし状態での発表といってもよく、実際、文句なしの名曲である「あなたにサラダ」がつくられたのは、発表よりずいぶん前だったといいます。
現在も活躍している人に向かってあんまりいい表現ではありませんが、アタシにとって特大ヒットした「LOVE LOVE LOVE」は最後の悪あがきのようにさえ感じました。

それでもまだ「LOVE LOVE LOVE」はドリカムらしさをかろうじて残してますが、これ以降の楽曲に関しては「別にドリカムでなくってもいいんじゃないの」みたいなのばっかりで、本人たちはやりたいことをやってるんだろうけど、初期の楽曲にあったような「きらめくような才気」は消え失せ、ただただ「個人的趣味に付き合わされている」みたいに思えて、アタシ自身ドリカムからの興味がなくなってしまったのです。
んでですね、ドリカムを語る上で、内容は歌詞の話ばかりになってしまいます。てかなってしまいました。本当はメロディのよさを論理的に語れればいいんだろうけど、アタシにはそんな素養はないし、アレンジはほとんど聴くべきところがないのが実情です。

ただ、吉田美和の声と歌詞を一番活かしたと思えるのが、シンプルきわまるアレンジの「あなたにサラダ」なのは皮肉で、しかしここにドリカムの良さ(あくまでアタシが感じる、ね)を取り戻すヒントがある気がするんです。

ほとんどのミュージシャンに当てはまりそうなんですが、ミュージシャンって「どう<枯れて>いくか」ってのは本当に難しい問題だと思う。
上手く言えないけど、とくにポップス系の人たちが難しい気がするし、逆にロックやジャズはまだ<枯れ方>の定型がありそうなんですよね。




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