いとこい先生は老獪?
FirstUPDATE2005.2.8
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オークランド・アスレチックスの藪似です。きのうは更新できませんでした。

というのもだましだまし使っていたPCですが、またしても立ち上がらなくなったので、主なデータを<CD-R>にバックアップして(約10GB分のデータをCD-Rにバックアップするのがどれだけ大変か!いやホントはハードディスクの容量が足りなくて仮運用のOSをインストールするまでが大変だったんだけど)、ハードディスクのフォーマット&分割(そもそもこれをやってなかったからアカンかったんよね)、OSの再インストールまで一気にやりました。
費やした時間、なんと12時間!マジで大変だった。ほぼ環境は元に戻ったけど、一部のフォントが消えてしまいました。もしかしたらご迷惑をかける方がおられるかもしれませんが、何卒ご容赦くださいませ。

今日のテーマはいとこい先生です。

アタシの記憶がはっきりし始める6、7歳、1975年ごろの話ですね。「お笑いネットワーク」(よみうりテレビ)とかの漫才番組をみてて、いとし・こいしが出てくると「うわぁ、えらいおじいさんが出てきたな」と思ったものです。
でもね、調べてみると
・夢路いとし 大正14年(1925年)生まれ
・喜味こいし 昭和2年(1927年)生まれ
ですから、1975年前後といえば、まだ50歳前後だったわけです。ちなみに明石家さんまがもうすぐ50歳のはずですが(現注・2005年当時)、とても同じ年齢だとは信じられません。

とにかくつまんない老漫才コンビといった印象で(だって小学生が「うちのサイがね」みたいなネタで笑えますか?)、なんとなく敬遠してたんです。それが急に変わったのは大学に入ってからのことでした。
なんのことか、秋田実・作のいとし・こいしの漫才台本があったんで、友人と一緒に読んてたんだけど、これが見事におもしろくない。なんじゃこりゃと。

ビートたけしの論を持ち出すまでもなく、漫才は生き物ですから、古いネタ台本を読んでもおもしろいわけないのですが、あまりのつまらなさに友人と苦笑してしまいました。
で、ふと思い立って、「ちょっと、いとし・こいし調で再現してみよか?」と友人に持ち掛けてみてやってみたんですが、これはしたり。あのつまらなかった台本が急におもしろくなったんです。
いとし・こいしに当て書きしてるんだからそれも当然のことなんですが、この時「これだけ差があるんだから、もしかして、いとし・こいしって何か特別な存在なのかもしれない」と気づいたんですね。

それから注力していとし・こいしのネタを聴くようにしたんですが、これが半端じゃなくおもしろい。「年寄りくさい」と敬遠した自分をぶん殴ってやろうかと思うぐらいね。
ホントはすごい老練なんだけど、顔とかで笑わしたりとか平気でするでしょ。よく聴くとギャグもわかりづらいマニアックなことをやってるし。こんなじいさんが、こんなギャグをやってる!これだけで最高にシビれてしまったんです。

いとし・こいしのいいところはこういう部分だと思うんです。たしかに見た目的には、落ち着きのある練り上げられた芸っぽいのですが、ふつうに見てると顔で笑わせたりするから、あんまりテクニックを感じない。でもそこがすごい。
とはいえ、やっぱりいろんなものを積み重ねた末にあのスタイルになったんだなと気づいたのはさらに先で、「アワモリ君西へ行く」(1961、東宝)を観たからです。

この映画、というかこのシリーズ(といってもたった3本だけど)は坂本九主演で森山加代子、ジェリー藤尾共演というマナセプロのスター総出演(といってもたった3人か)で、監督はクレージーキャッツ映画でおなじみの奇才・古澤憲吾です。
「西へ行く」は関西が舞台で、1961年ごろの梅田の阪急百貨店や、御堂筋が活写されていてそれも楽しめるのですが、一番の見どころはだいぶカットされているとはいえ、まだ若いいとし・こいしがネタを披露しているんです。
車屋のネタをやってるんだけど、もうメチャクチャ動きまわるんです。あのいとし・こいしが。ツッコミで蹴り倒したりしてるんですから。何度もいうけどあのいとし・こいしが。

さらに感動したのが、これはいとしが死んでからの番組だったと思うけど、VTRで幻のネタとして紹介されてまして。
そのネタの内容はというと、ふたりがハサミを持って舞台に上がってきて、ネクタイの切り合いとかをするんです。もちろん本当に。その挙げ句背広までジョキジョキ切りまくる。ムチャクチャでしょ?
ちょうどアタシがいとし・こいしを見たと認識した頃(つまり1975年前後)のネタらしいのですが、マジでとんでもないでしょ?たぶん本質的にはアナーキーな体質の人たちだったのかもと思います。(ちなみにその番組で「幻」の理由をこいしが語っていて「客が引きまくってた」のと「衣装代がかかってしゃあない」と笑ってました)

そういえば、晩年にかっぱえびせんのCMに声だけ出演してましたが、これもすごかったなぁ。おもしろいというより、凄みすら感じさせましたね。
結局軽いんでしょうね。軽いっていっちゃ悪ければ、軽味があるといえばいいんでしょうか。軽いからこそ、いくつになってもなんの衒いもなく顔で笑わせたりできるんだと思うし。

表面上は老練なおとなしい漫才を演じながら、実はアナーキーで軽いなんて最高にカッコいいじゃないですか。

そうか、藪御大もアスレチックスだったか。忘れてた。
それはともかく、いい加減「アワモリ君」シリーズもメディア化、せめてサブスクで配信して欲しいわ。いやベストはスカパーでもう一回やってくれることだけど。




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