ドライな「青春とはなんだ」
FirstUPDATE2005.1.30
@Scribble #Scribble2005 #テレビドラマ #1960年代 #東宝 青春とはなんだ 貴様と俺 単ページ

さっきまで「ソロモンの王宮」みてたんだけど、このプロデューサー、いってることバラバラだな。

子供にたいして部屋に閉じこもってるようなゲームデザイナーのイメージを変えたいとかいってたのに、自分の会社は社員が自分の殻に閉じこもる環境つくってんじゃん。なんか一見環境よさそうだけど、実は社員は大変なんじゃないかね。(現注・調べてみると某レースゲームを作ってたゲームクリエイターの回だったみたいです)
えと、藪似です。今日は「青春とはなんだ」のことを。といっても日活で撮られた映画版ではなく、日本テレビで放送されていた、学園青春ドラマシリーズの記念すべき第一作である「青春とはなんだ」(1965・東宝、日本テレビ)のことです。

放送が開始されたのが1965年。当然モノクロ作品なんですが、なんでこんな古い作品をみることができたのか?今から20年近く前だったと思います。なぜか神戸のUHF局のサンテレビが全話放送という暴挙快挙にでてくれたからなんです。映像も非常にキレイで、今でもビデオに撮っておかなかったことを後悔しています。
アタシはそれまでにも「飛び出せ!青春」(1972・東宝、日本テレビ)とかはみたことがあったんです。村野武範のやつですね。まぁおもしろいんだけど、やっぱクサすぎてついていけないところもあったのも事実で。んで「青春とはなんだ」が始まったので、とりあえず見始めたんだけど、もうほとんど期待せずにね。
だって1972年制作の「飛び出せ!青春」でさえあれだけクサいんだから、それより7年も古い「青春とはなんだ」なんてクサくてみてらんないんだろうなって。

この擦り込みはヒップアップのせいでもあるんです。当時の彼らのネタといえば青春ドラマを茶化したような内容で、たぶん元ネタが初期の青春シリーズ、「青春とはなんだ」あたりなんだろうなと勝手に思い込んじゃったんです。
ところがね、これは完全に思い違いでした。なにしろこのドラマの制作は、テキトーで馬鹿明るい作品を作らせたら天下一品の、あの東宝です。しかも昭和40年といえばまだそんな作風が濃厚だった時代なわけです。
クサいなんてとんでもない。「飛び出せ!青春」なんかよりずっとドライで、しかも明るい作風だったんですね。これはメイン監督だった松森健(あの「ニッポン無責任時代」(1962 東宝)の助監督!)の資質もあったと思います。

特に前半の回がすごくて、主人公の野々村健介がなにかっていうと町のチンピラと格闘しているんです。これはアクションスターだった夏木陽介を活かすためだったんだろうけど、もう主人公の職業が高校の教師ってだけで、全然学園青春ものじゃない。
後半にいくにしたがって、学園青春ものらしい生徒のエピソードが中心になっていくのですが、それでもせっぱつまった<青春の悩み>ではなく、全体的にのんびりしていてね。

ただ野々村健介のキャラは一貫していて、とにかくドライ。全然生徒とベタベタしないし、アメリカ帰りという設定のためか考え方もすごくモダンなんです。これがのちの、人間臭くて泥臭い、生徒と同じ目線を持つ河野武(村野武範)や沖田俊(中村雅俊)あたりとは決定的に違います。
一回ハッとするような回があって、それは極度の虚言癖のある女生徒の話だったんだけど、ふつうは虚言癖が治ってハッピーエンドになるんだろうけど、これはとうとうラストまで治っていない。でね、ラストシーンの夏木陽介の顔がよくて。
なんか「もうこの子は一生こうやって生きていくんだろうな」みたいな表情をするんです。たぶんこのラストのせいなんだろうけど、この回は印象に残ってますね。

このドラマで特に好きなのは、エンディングテーマになっていた「貴様と俺」で、歌っていたのは、今話題沸騰中(仮面ライダーで)の、若き日の布施明です。
こういう歌ってつい「勝ち負けは関係ない。思い切って力のすべてを出し切ることが大事なんだ」みたいな展開になりがちじゃないですか。でも「貴様と俺」は違いますからね。
ちゃんと「勝ってかえらにゃ男じゃない」といっている。
そうですよ。勝負事なんだから勝たないと意味がないですよ。どうしても日本人は敗者の美学をたたえようとしますが、それってやっぱ変ですよねぇ?

まぁそんな感じです。ではでは

とくに加筆することもないんだけど「貴様と俺」は「♪ きッさまとおォれェとォはァ 同期のさ、く、ら~」じゃないからね。つかそれは「同期の桜」です。
「貴様と俺」は「♪ そォらァにィ燃えェてるゥ でっかい太ィ陽ォ(中略)組ゥんンだスクゥラムゥ 貴様とおォれだ~」です。




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