銭湯のはなし
FirstUPDATE2005.1.28
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えと、今日はのんびり銭湯のはなしを。

銭湯好きにはほぼふたつのタイプがあると思います。
ひとつは、スーパー銭湯を好む「機能派」、もうひとつは、ひなびた昭和初期にできたような古い銭湯を愛する「旅情派」。
アタシがどっちなのかというと、実は両方好きです。さまざまな浴槽が用意され、広いロビーでゆっくりくつろげるスーパー銭湯も好きですし、昭和初期の建築物をみるだけでも心がときめく人間としては古い銭湯も好きでして。どっちかをとるのはできないですね。

スーパー銭湯のよさは、ほぼどのスーパー銭湯にも設置されている露天風呂でしょう。いろんな浴槽があっても露天風呂があれば、圧倒的に露天風呂にはいっている時間が長いんです。特に冬場はね。つめたい冷気に顔と上半身を冷やされながら、下半身はポカポカという、あの感覚が最高に気持ちいい。
それなら温泉の方がいいだろうって?まぁそういう部分もあるんだけど、スーパー銭湯って、わりと都心部にあるじゃないですか。あくせく働いている人たちのすぐそばで、ゆっくり湯につかっている。これが快感なんですよ。こういう感覚は、すべてがのんびりムードを演出している温泉では味わえませんからね。

去年まで(現注・正確には2003年末まで)東京に住んでいたんですが、東京に住んでて何が不満かといえば、スーパー銭湯がほとんどないことでした。健康ランドみたいなのもあまりないし。しかたがないので荻窪にある「湯~トぴあ」(現注・現存せず)にちょくちょくいってました。たしかに健康ランドもいいんだけど、やっぱ高いでしょ。スーパー銭湯には<お得感>も快感に含まれているので、どうしてもスポイルされてしまうんです。そこがねぇ。

スーパー銭湯で一番のおすすめは、大阪でいえば河内松原の「極楽温泉」(現注・現存せず)か、豊中の「夢の公衆浴場 五色」かなぁ。極楽温泉はもうスーパー銭湯としては古株なんだけど、なんかすごくのんびりしたムードがあるのです。一方五色はなんといっても24時間営業というのがデカい。明け方の4時くらいに行って、風呂に入りながら夜明けを迎えるというのもオツなものです。

さて、古びた銭湯の方は、たしかに好きなんだけど、当たり外れが大きいのが玉にキズです。古い銭湯でもちゃんと手入れしていればいいんだけど、たまに滅茶苦茶不潔なところがありますからね。銭湯にきてて不潔な思いなんて一番嫌なパターンですよ。
あと湯船の湯が熱すぎてつかれない、ということもたまにあります。これってガンバルマンやん、ってレベルのとこが本当にありますから。
てなことをいうと、お前は我慢がたりない、なんて思われるかもしれませんが、アタシはどっちかってえと熱い湯は好きなんです。それでも我慢できないくらいなんだから。実際どうみても熱いのに強そうな頑固そうなじいさんさえも湯船につからずにでてくるんだからね。

この当たり外れが多い中、当たりを見つけた時はめちゃくちゃうれしいわけです。
文句なしに当たりと思えるのが、近鉄河堀口駅とJR美章園駅の間にある「美章園温泉」(現注・現存せず)です。なにしろここの建物は有形文化財に選ばれているぐらいで、戦前にはプールとダンスホールを備えていたらしいです。とにかくモダニズムあふれる外装と内装は圧巻で、本当に見とれてしまいます。一時期この辺りに住んでいたのですが、毎日通っても全然厭きませんでしたから。
しかも古いのに清潔だし、お湯の温度も適温ということがありません。
また客層もいい。おそらく古い銭湯好きの好きたるゆえんは、地域や生活と密着しているところにあると思うのですが、ここはそういう部分でも完璧で、いかにも大阪の下町らしい、ふつうに生活している人ばかりでなんです。

ああ、こんな文章を書いていたら、また銭湯に行きたくなってきたぜぇ。といってもさっき近所の銭湯に行ってきたばかりなんだけど。

河内松原の極楽温泉がなくなったのはショックだったわ。
軽く調べたら2020年9月閉店か。緊急事態宣言以降、スーパー銭湯全般が芳しくないフトコロ事情だったんだろうけど、マジでコロナは許せん。




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