ジャック・レモンから石立鉄男へ
FirstUPDATE2004.12.3
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「アパートの鍵貸します」(1960・米)とか「お熱いのがお好き」(1959・米)とかね、ジャック・レモン主演の映画って結構好きなんですよ。

で、なんとなくこういうムードって体感したことあるなぁと思って、よく考えたら石立鉄男主演の、昔のドラマに非常に近いというか。もちろんつくられた順番でいえば、ジャック・レモンの映画の方が先なんだけど、子供の頃に慣れ親しんだ石立鉄男ドラマの方が見たのは前になるんですね。
洋画オンチのアタシからすれば、ジャック・レモンといえばビリー・ワイルダーというぐらいの名コンビだと思っているんですけど、実際ビリー・ワイルダーのフィルモグラフィーをみても、コメディ作家に転じてからジャック・レモンとコンビで映画をつくっていた時代が一番輝いていたと思うし、現在の評価というか影響もこの頃の作品に集中している気がします。

ジャック・レモンにビリー・ワイルダーがいたように、石立鉄男には松木ひろしというすぐれた脚本家がいました。松木ひろしといえばアタシが大好きな「ニッポン無責任野郎」(1962・東宝)のシナリオ修正をした人で、ウエルメイドなコメディを得意にしている人です。後年には、いまだに語り継がれるほどの名作「池中玄太80キロ」なども手がけていますが、その原型になったのは、もちろん石立鉄男コメディなんですね。

石立鉄男×松木ひろしのコンビのコメディは、「おひかえあそばせ」(1971・日本テレビ、ユニオン映画)から「気まぐれ本格派」(1978・日本テレビ、ユニオン映画)まで7本のシリーズがつくられましたが、その中でももっとも有名なのは、子役時代の杉田かおるが出演していたことでも知られる「パパと呼ばないで」(1972・日本テレビ、ユニオン映画)でしょう。

アタシが子供の頃にさんざん再放送をしていた「パパと呼ばないで」ですが、今から3年ほど前(現注・2001年)にもテレビ東京で再放送されていて、その時あらためて丹念に観直したのですが、特に前半がおもしろく、後半になるとややダレるのが難点ですが、総じて傑作という名に値すると思います。
ところが・・・この有名な「パパと呼ばないで」ですが、実は松木ひろしはあんまり脚本を書いていないのですよ。もちろん最初の方の、土台となる時期にはちゃんと書いているんですけど、それからはホントにポツポツとしか書いていない。
でも、だからこそ、松木ひろしが石立鉄男でやりたかったことが浮き彫りになってるような気がするんです。

松木ひろしが書いた回って、たとえば向田邦子(が結構書いてるんですよ、意外にも)が書いた回と比べても、とりわけコメディ色が強い。石立鉄男に扮装とか平気でさせてるし。特に「ママが生きてた!」の回では、真後ろにバッタリ倒れるという、荒々しい体技までやらせています。
他の脚本家はきっと、石立鉄男を役者として扱ってたと思うんです。でも松木ひろしは違う。石立鉄男を完全にコメディアン扱いなんです。でもそれは、そうした方が石立鉄男が活きるって知り抜いているからできたことだと思うんですよね。
石立鉄男自身がジャック・レモンを意識していた(というかジャック・レモンコメディを意識していた)ことは、杉田かおる等の口から語られているので間違いないと思うのですが、結果、笑わせてあったかい気持ちにさせて、という、いかにも日本的なコメディになったのではないかと。

てかねぇ。今いないよなぁ、こういう役ができそうな人が。中居くんとかならちょっとできそうな気がしないでもないけど、あの味は出せるかなぁ。ではでは

これさ、石立鉄男主演のユニオン映画作品で複眼単眼とかやったら面白そうなんだけど、あいにく映像が揃ってないのよね。
あと最後、中居くんとか書いてるけど、とんでもないピッタリな人材がいたんだけどなぁ。もう散々書いたから名前は出さないけど、彼なら完璧にアレの現代版がやれたのに。




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