ムースVSゼブラ
FirstUPDATE2004.1.9
@Scribble #Scribble2004 #プロ野球2004年 阪神タイガース 今岡誠 野村克也 単ページ PostScript #1980年代 #2000年代 #大阪 yabuniramiJAPAN

あたりまえなんですけど、この季節は慢性的なネタ不足になってしまいます(現注・野球関係のネタは、という意味です)。自主トレの話題なんか書いてもしょうがないですしね。

こういう時、野村さん(現注・野村克也)の発言とか正直ありがたいわけです。でも難点をいえばあまりにも格好のネタすぎて、他のサイトとかでもさんざん述べられているので、どうしても今更感はあるんですが。
アタシの野村観は<ヤブニラミの辞典>(現注・2003~2004年の半ばまでやっていた「悪魔の辞典」のパロディ)に書いてある通り、わりと甘いもんだと思います。この人の言動不一致なんて今に始まったことじゃないですし、そこに目くじらをたてるのもどうかと思うわけです。

最近「プロ野球を10倍楽しく見る方法」(1982年発行)を読み返したんです。そうです。今年の大阪府の知事選に出馬される、球界きっての長身ダンディが書いた(適当にしゃべったことをゴーストライターがまとめた)本なんですけど。
なんとなくもっとムチャクチャな内容だったような記憶があったんですけど、案外そうでもなかった。むしろ、こういう云い方はナンですけど、どっからもクレームがこないように実にうまくまとめてあると感心しました。

今読んでもそんなに違和感がないのは、本に書かれている選手のイメージが、現在とそう変化がないからなんです。田淵は実に田淵らしいエピソードが書いてあるし、特に川藤(本が書かれた当時、代打稼業一本でも春団治でもなかった)なんか<これがオフィシャルイメージの最初じゃないの?>とまで思わせます。
ところがひとりだけ現在と著しくイメージが違う人がでてくるんです。
それが野村さんなんだけどね。

一番ビックリするのが「野村さんは、選手をおだてて使うのが、本当にうまい人だった」という記述です。
例を出すのは甚だ恐縮なんですが、あの今岡のやる気を完全に剥奪した人ですよ。
いったいこれはどういうことなのか。エモが遠慮して書いているのか、南海監督当時とまったく人間が変わってしまったのか。

アタシは後者、つまり当時と別人になってしまった可能性が高いと思うんです。もちろん本質的な部分は変わってないと思いますよ。鶴岡親分と相当の確執があったといいますし、南海をクビになったのも2代目夫人が原因といわれてますし。
でもね、選手をやる気にさせるのが上手かったのは間違いないですよ。
まったくのペーペーだった江本、佐藤道、松原(のちの福士)、門田、柏原、藤原、新井らを主力に育て、完全な一匹狼だった江夏を心酔させたわけですよ。

ここでハタと気付くわけです。
「江本・門田・江夏より、今岡の方が扱いづらかったということか」と。
でも正直それは信じられない。先の3人など球界でも指折のアクの強さといわれているわけですよ。それらの人より今岡の方が扱いづらいというのはちょっと考えられないんですよね。
野村さんという人はね、これはあくまで想像なんだけど、基本的にすごく無口なんじゃないかと思うんです。たぶん南海監督時代は本当に必要なことしか話さなかったんじゃないかと。だからこそ選手にもズバッと効いたと。

でも今はしゃべることを求められているわけですよ。そうなったのは解説者時代でもヤクルト監督時代でもなく、阪神の監督になると同時にそうなってしまった。でももともと多弁じゃないからいわなくていいようなことばかりいってしまう。たまに「本当に必要な核心をついたこと」もいっているんだけど、不必要な発言がそれを全部消し去ってしまっている、そう感じます。

なんかね、まるで晩年の横山やすしをみているみたいでね。本当はそんな人じゃないのに、どんどん自分で自分のいった言葉に乗せられている感じがして。

こういう話って後年、当人の口から語られると「実はそこまでこじれていたわけではなかった」みたいな話になるんだけど、野村克也は亡くなるまで今岡を肯定的には語らなかったし、今岡は今岡で、岡田彰布や星野仙一への感謝の気持ちは語っても野村克也の話はほぼしない。
たぶん、それこそ野村が自著でしつこく「阪神の選手の扱いを間違えた」と書いていたのは、本当は「阪神の」ではなく「今岡の」ってことなんだろうな。たぶん、そこがずっと小骨みたいに引っかかってたんだろうから、亡くなる寸前に今岡の方から歩みよっても良かったような。
もちろん余計なお世話だけど。




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